「開創1150年記念 特別展 旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」(東京国立博物館)開幕レポート。120面超の重文障壁画を展覧【3/4ページ】

 最後を飾る第4章「女御御所の襖絵―正寝殿と宸殿」は、まさに本展のハイライトだ。

 大覚寺伽藍の中心の「宸殿(しんでん)」(重要文化財)は、1620年に後水尾天皇に入内した徳川和子(東福門院)の女御御所の一部を移築したとされるもの。またその北西にある「正寝殿(しょうしんでん)」(重要文化財)は安土桃山時代に建てられた歴代門跡の居室だ。これらの内部を飾る障壁画(襖絵や障子絵)240面は一括して重要文化財に指定されており、本章では123面もの障壁画が紹介される(前後期で展示替えあり)。

展示風景より

 《野兎図》(18世紀)は正寝殿の入縁(屋内縁側)を飾るために渡辺始興が腰障子に描いたもので、様々な姿をした19羽の愛らしいウサギたちの姿が賑やかだ。ウサギとともに細い葉もリズミカルに配置されており、全体が華やかな印象となっている。なお本作は、12歳で大覚寺に入った卯年生まれの門跡・第四十一世門跡寛深を慰めるために描かれたものだという。

展示風景より、渡辺始興《野兎図》(18世紀)

 正寝殿のなかでも、もっとも格式高い場所である「御冠(おかんむり)の間」。ここは天皇や門跡の御座所であり、襖の奥の「剣璽(けんじ)の間」には三種の神器が保管されていたとも言われている。この場所は通常非公開となっているが、本展では、この空間が展示室に再現された。御冠の間を飾る狩野山楽の《山水図》(16〜17世紀)とともに目を凝らしてほしい。

「御冠の間」の再現展示
展示風景より、狩野山楽《山水図》(16〜17世紀) *前期17面、後期13面展示

編集部

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