ビアンカ・ボンディは1986年、ヨハネスブルグ生まれ。現在はパリに在住しており、おもに塩水を用いた化学反応を利用して作品を制作。生と死のサイクルに焦点を当てつつ、「物質の生命」に目を向けさせようとする作品を制作してきた。
本展でボンディは「Ebb(引き潮)」と名づけた、4つのタペストリーからなる作品群を展示している。本作は、太平洋の海底で電気を発する金属鉱床が酸素を生成している、という論文にインスピレーションを得てつくられたものだ。
人間中心主義に異議を唱え続けてきたボンディは、無機的で無生物として認知されるはずの鉱床が、まるで植物のように生命を支える酸素をつくっているという論文の内容に感銘を受け、酸化して様々にその色彩を変化させる金属のようなタペストリーをつくりあげた。