イギリスを代表する画家、デイヴィッド・ホックニー(1937〜)と、自然の抽象美を描いた日本画家、福田平八郎(1892〜1974)の2人展が、東京・銀座のアートギャラリー「THE CLUB」で開催される。
ホックニーは1971年に初めて来日した際、京都市美術館で開催されていた「京都日本画の精華」展を訪問。その展覧会には、福田の代表作である《漣》(1932)や《新雪》(1971)が出展されており、ホックニーは、その明快な色彩と大胆な構図に圧倒されたという。日本を訪れたあとに描かれたというホックニーによる「ウェザーシリーズ」の「雪」や「雨」、そして水の表現や風景画には、福田作品からの影響が感じられる。
ホックニーと福田は、両者ともに日常の情景をひたすらに描き続け、その大胆な色面構成によって、限りなく抽象に近い作品を生み出してきたアーティストだ。絵画制作において、「物体」から「色彩」へ意識を向けることによって、新しい表現世界を展開した。
本展では、ホックニーがiPadを用いて描いた「The Yosemite Suite」シリーズを、《花菖蒲》(1934)をはじめとする福田の代表作品6点とともに展示。国籍も時代も異なる2名が魅せられた自然のリズムと彩りに注目した展覧会となる。