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特別展「石岡瑛子 I デザイン」(兵庫県立美術館)開幕レポート。いま、現代を生きる石岡瑛子の仕事を見る【2/6ページ】

 本展は石岡のクリエイションの核となっていた「I=私」に5章構成で迫るもの。「1幕|知性と品性、感性を磨く」では、大学卒業後の石岡が、新たな女性像をデザイナーとして提示し、その名が広く知られるようになるまでをたどる。

 石岡が資生堂宣伝部で働き始めた時代は、まだ働く女性が少なかった時代だ。この時代の石岡の姿勢を象徴する1枚が、前田美波里を起用したサマーキャンペーンのポスターだ。ポスターが持ち去られるほどの熱狂的な支持を得た本作によって、石岡は評価を固めた。

 本作は日本で初めて、ハワイでのロケを慣行したポスターであり、当時の日米のレートからしても、まさに資生堂の社運をかけたキャンペーンだった。常夏のハワイでモデルである前田は生き生きとした表情を見せ、これまでの広告における人形のような女性のイメージを破壊することに成功している。

 本展監修の河尻はこのポスターについて「前田のポーズがポイント」だと語る。「じつは、もとは周囲の風景を含めて写した、引きの写真であったものを大胆に前田だけトリミングしている。せっかくのハワイロケなのに、それらしいモチーフが入っているわけではない。それでも、この迫力のあるポーズを焦点化することを石岡は選んだ。そこに石岡のすごさがある」。

編集部

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