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特別展「石岡瑛子 I デザイン」(兵庫県立美術館)開幕レポート。いま、現代を生きる石岡瑛子の仕事を見る【3/6ページ】

 「2幕|あの頃、街は劇場だった ―1970's 渋谷とパルコ、広告の時代―」は、石岡が広く活躍するようになった70年代の仕事を振り返る。

展示風景より、角川書店のポスター

 この時代の石岡の仕事として代表的なのは、PARCOの一連のポスターだろう。70年代初頭、まだ登場したばかりのPARCOは当時珍しかったテナントビジネスであったため、自社が用意した商品を積極的に紹介するという従来の百貨店のモデルとは異なり、イメージを伝えるビジュアルでPARCOというブランドを印象づける必要があった。

展示風景より、PARCOのポスター

 こうした目的のもと、石岡が前に押し出したのは商業化され自動化されていく時代のアンチテーゼとでもいうべき、圧倒的な「生」の感覚だった。河尻はPARCOの一連のビジュアルについて次のように語る。「『裸をみるな裸になれ』というキャッチの、トップレスのモデルが微笑むポスターに象徴されるように、石岡は人間が何のために消費するのか、という根源的な問いを、コミュニケーションをするかのように当時の若者達へと投げかけた」。

展示風景より、PARCOのポスター

 こうした石岡の本質を探る問いかけは、やがて海外へとその答えを求めていく。モロッコでのロケを刊行したPARCOのポスターは「あゝ原点」という印象的なキャッチとともに、服を着るという行為の根源を問うようなビジュアルが印象的な広告だ。本来、商品を魅力的に見せるための広告を、消費についての行動や欲望について問い直すものとした石岡の、センセーショナルな仕事が伝わってくる。

展示風景より、PARCOのポスター

 また、この時代の石岡の仕事として外せないのが角川文庫のポスターだろう。文庫本を「知を持ち歩くもの」と解釈することで、新しい時代の考え方を提示。その刺激的なコピーともに、時代に衝撃を与えた。

展示風景より、角川書店のポスター

編集部

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