「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」開幕レポート。過去最多61組が六甲山で作品披露
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風の教会エリア

 安藤忠雄建築として知られる「風の教会」があるこのエリア。必見は宮永愛子の新作《辻の音》だろう。

 日用品をナフタリンでかたどったオブジェで広く知られる宮永。《辻の音》は、風の教会内部ににささやかな作品を散りばめたインスタレーションとなっている。宮永は制作にあたり、六甲山上から見渡せる神戸の景色の中で暮らす人々や場所、ことをリサーチ。《辻の音》は「祈り」「宝物」「記憶」の3要素から構成されており、震災瓦礫の灰の埋め立て土から生まれたガラスの船や、有馬温泉源泉の石、様々な出来事を伝えるために使用された切手など、この地の記憶や歴史が、教会内で交差する。

展示風景より、宮永愛子《辻の音》
展示風景より、宮永愛子《辻の音》(部分)
展示風景より、宮永愛子《辻の音》(部分)

 この作品からほど近い、六甲山芸術センターでは、「なおすー再生と循環」をテーマに一貫した作品制作を行ってきた青野文昭の新作を見ることができる。《机上の庭園ーわれらの住まうところ2024》は、六甲山の山道や空き地に取り残されていた「もの」たちを再構築したもの。破壊と再生、循環する人間の営み、六甲山の過去と未来を映し出すかのような作品だ。なお、青野は今回が関西エリア初の作品展示となる。

展示風景より、青野文昭《机上の庭園ーわれらの住まうところ2024》

 また同センターには、自身のひきこもり経験を基点に、生きづらさを抱える当事者と協働するプロジェクトを行う渡辺篤(アイムヒアプロジェクト)の《「同じ月を見た日の、あなたの傷を教えて下さい。」》など、多数の作品が展開されている。

展示風景より、渡辺篤(アイムヒアプロジェクト)《「同じ月を見た日の、あなたの傷を教えて下さい。」》

編集部

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