「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」開幕レポート。過去最多61組が六甲山で作品披露
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六甲高山植物園

 植物学者・牧野富太郎ゆかりの植物園である六甲高山植物園。広大な敷地内を散策しながらアート鑑賞ができるこの場所では、インドネシア拠点のコレクティブ「Waft Lab(ワフラボ)」に注目だ。アートやサイエンス、テクノロジーなど領域横断的に活動するWaft Lab。今回、六甲山付近の廃棄物やリサイクル状況などを調査し、廃材によって巨大な野外インスタレーション《ペルサミ:一緒に遊ぼう》をつくりあげた。「ペルサミ」とは、インドネシアのボーイスカウト活動を意味するもので、本作はアクティビティをテーマに、遊び場としても機能する。

展示風景より、Waft Lab《ペルサミ:一緒に遊ぼう》

 野村由香による《足もとの惑星》は、六甲山を生み出したプレートの動き、断層などの地球の大きなエネルギーから着想したもの。木材や布などで構成した構造体に六甲山の土と粘土を被せ、重力によって自然に開いた状態で展示されている。

展示風景より、野村由香《足もとの惑星》

 膨大な柳製のカゴによって構成されたHAFEN 本田耕の《Wind of Plants Hill》は休憩所として機能する作品。籐など植物を編み込む家具の技術は、もともと神戸や横浜から全国に広まったという。本作はその歴史的な文脈を取り入れたものだ。

展示風景より、HAFEN 本田耕《Wind of Plants Hill》

 この植物園では、このほかにクゥワイ・サムナン、生田目礼一、田中優菜が作品を展開する。

展示風景より、生田目礼一《『ヒカリ島』〜夜光植物“UkarukuPa”燐光実験区〜》

ROKKO森の音ミュージアム&SKIガーデン

 前回から六甲ミーツ・アートの拠点となっているROKKO 森の音ミュージアムでは、俳優でアーティストとしての活動も活発に行うのんが初めて出展。兵庫生まれののんは、4年つくり続けている大量のリボンを使ったリボンアートの新作《のんRibbon Art 昔といまを結ぶちょうちょ》のほか、東北の伝統工芸である「こけし灯籠」「赤ベコ」にリボンを纏わせた作品も見せる。

展示風景より、のん《のんRibbon Art 昔といまを結ぶちょうちょ》

 今回で六甲ミーツ・アートに3度目の参加となるさわひらき。屋外展示となる《shadow step》は、カメラ・オブスクラの構造を利用し、外部の景色を構造物の中に投射する大作だ。

展示風景より、さわひらき《shadow step》

 西田秀己の《fragile distance A-A’, B-B’,C-C’》は、この場所を含めて全会場に3ヶ所展開されているインスタレーション。六甲山の隆起するランドスケープの中にある、人間が生み出した直線をモチーフにしたものだ。

展示風景より、西田秀己《fragile distance A-A’, B-B’,C-C’》

編集部

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