いまこそ、本とじっくり向き合う時間を。ブックディレクター・幅允孝による私設図書室&喫茶「鈍考 donkou/喫茶 芳 kissa Fang」へ
5月17日、京都にブックディレクターの幅允孝が私設図書室と喫茶を備えた「鈍考 / 喫茶 芳」をオープンさせた。その様子をレポートでお届けする。
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「鈍考/喫茶 芳」は京都駅から列車で約45分、比叡山口の手前に広がる起伏のある土地に建つ。幅の蔵書約3000冊が並ぶ一般に公開された図書室と、珈琲を提供する喫茶を備えた一軒家だ。
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図書室「鈍考」は90分ごとの入れ替え制で、一度に入室できる定員は6名。予約はウェブで行い、入室日時が確定すると、入室のための扉の暗証番号がメールで送られてくるシステムになっている。大谷石が階段状に敷かれたアプローチを上り、エントランスの扉を開けると、真っ先に視界に入ってくるのは裏庭のヒノキ林を借景に切り取ったピクチャーフレームのような開口部。耳に入ってくるのは庭の傾斜した河岸の下を流れる小川のせせらぎと鳥のさえずりぐらい。たまに顔を覗かせる鹿には敏感になりながら、「時間の流れの遅い場所」をつくりたかったと幅が言うように、ここでは時間の世界にいることを忘れそうだ。ここは、壁一面に配された書物の中から思い思いに選んだ一冊とじっくり向き合うための場所である。
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