世界初の常設展示。レアンドロ・エルリッヒの《建物》が十和田市現代美術館で公開
今年4月に開館以来初の常設作品の入れ替えを行った十和田市現代美術館で、レアンドロ・エルリッヒの《建物─ブエノスアイレス》が新たな常設作品として公開された。
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今年4月に開館以来初の常設作品の入れ替えを行い、塩田千春の新作《水の記憶》を公開した十和田市現代美術館。12月1日、レアンドロ・エルリッヒの《建物─ブエノスアイレス》が、今春より建設されてきた新たな展示室とともに公開された。
アルゼンチン出身のレアンドロ・エルリッヒは、体験型の大規模なインスタレーション作品で知られるアーティスト。日本国内では金沢21世紀美術館で常設作品《スイミング・プール》が展示されており、また2017年から18年にかけて東京の森美術館で開催された「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」では61万人以上を動員し、大きな人気を博した。
今回の作品は、エルリッヒの「建物」シリーズが世界で初めて常設作品として展示されるもの。作品のモチーフとなるのは、作家の故郷・ブエノスアイレスで馴染みのある建築のファサード。45度の角度に設置されたミラーシートによって建物が垂直に立っているような効果が生まれ、鑑賞者は重力に逆らうように建物の表面でポーズをとることができる。
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同館の学芸員・中川千恵子によると、作品に使われている窓やドア、金属のバルコニーなどの建具はすべてアルゼンチンから輸入されたものだという。作品の前には「ギャザリング・スペース」が設置されており、鑑賞者が建物のなかに入り込んで作品を楽しむだけでなく、それを外から客観的に観察する鑑賞者の存在も重要な要素となっている。
館長の鷲田めるろは、同作は「十和田市現代美術館にふさわしい作品だ」としつつ、「コロナ禍は、美術館にとって常設展示やコレクションの重要性が見直される機会になったのではないかと思う。当館では企画展を行いながら、ふたつの作品を常設してきた。これはコロナ禍で行われた重要なことだ」と話している。
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同作のほか、十和田市現代美術館では奈良美智や草間彌生、オノ・ヨーコ、ロン・ミュエクなど国際的に活躍する37組のアーティストによる常設作品が収蔵されている。12月3日には、《建物─ブエノスアイレス》についてエルリッヒと鷲田との対談がZoomでライブ配信される。