世界で活躍するインディペンデントキュレーター、ジャスミン・ワヒをゲストに迎えた女性アーティストのグループ展「all the women. in me. are tired. —すべての、女性は、誰もが、みな、疲れている、そう、思う。—」が、1月25日より銀座のTHE CLUBでスタートした。
本展は、同ギャラリーが毎年、海外の若手キュレーターを招待して行うプロジェクト「Opus」の2回目となり、インド系のルーツを持つジャスミン・ワヒとTHE CLUBのマネージングディレクター・山下有佳子が共同でキュレーションをしたもの。ともにアジア人のアイデンティティを持ちながら、欧米のアート業界で働いた経験のあるふたりは、現代社会におけるセクシャリティーや人種による差別に対する疑問から本展の構想を始めたという。
本展では、昨年に公開された映画『アートのお値段』に出演した、 アメリカを代表する女性アーティスト、マリリン・ミンターをはじめ、人形やオブジェなどを使って写真を制作するローリー・シモンズ、パキスタン出身の若手アーティスト、ヒバ・シュバッツ、そしてアンドレア・チャン、チトラ・ガネーシュ、メキッタ・アフジャ、ナタリー・フランク、ゾーイ・バックマンといった世代を超えた8人の女性アーティストの作品を展示。女性としてどう生きるかという具体例を探求する。
タイトルにある「tired(疲れている)」について、ワヒはこう説明している。「歴史から見ると、多くの女性が追いやられ、平等のために苦労してきたと思います。そのために戦い続けるのは、とても疲れているのです」。
「女性のセクシュアリティは、異常な表現としてとらえられることが多くあり、女性が追いかけられるべきだと思われることも多いと思います。アメリカでは、有色人種の女性は、女性であるだけでなく、ほかの面でも差別されており、生きるのは非常に困難です。今回のアーティストたちは、様々な表現を通してその『戦い』を拡大しています」。
いっぽう、男女格差において世界の主要国のなかで比較的に低い水準となっている日本。今回、東京で女性のセクシュアリティや肌の色にフォーカスした展覧会を開催する意義について、ワヒはこう語っている。
「(女性は)自分を自由に表現し、やりたいことをやり遂げることができる、というメッセージを伝えたい。女性を取り扱う面では、日本の文化はインドと相似していることがあります。しかし、女性が声を持ち、平等かつ公平に取り扱われるべきことを、すべての人に知ってもらうべきです」。