古今東西の文化を再構築。絨毯模様のペインティングなどを展開するコア・ポアの日本初個展がTHE CLUBで開催

古今東西の文化を再構築し、絨毯模様のペインティングなどを展開するアーティスト、コア・ポアの日本初個展「Returnee」が、東京・銀座のTHE CLUBで開催される。会期は4月6日〜6月12日。

コア・ポア Mystic Waves(Seigaiha) 2019 165.10x134.62cm Courtesy of Kour Pour

 古今東西の文化をもとに再構築し、絨毯のペインティングを手がける1987年生まれのアーティスト、コア・ポア。ペルシャ絨毯の修復職人であった父を持つポアの作品には、ペルシャのミニチュア絵画や浮世絵、アメリカ抽象表現主義、東洋の山水画といった多種多様なイメージと文化への参照が含まれている。

 ペインティングと版画を主に制作するポアは、絵画史をフレームワークとして扱うことで文化の交流から生まれる様々なものを模索してきた。これらの要素を出発点に、もとのイメージをリミックスした各シリーズは、鮮烈かつ複雑で重層的な絵画表面を生み出す。

 ポアにとってあらゆる制作のプロセスは、思い通りの絵画を実現するための手段であるだけでなく、特定の創作技法の歴史が持つ伝統と繋がるための回路でもあるという。この考えは、「ジャポニスム」についての研究から生まれた、浮世絵の手法による作品シリーズにも見出すことができる。同シリーズで、ポアは浮世絵の制作に用いられる技法とイメージを組み合わせつつ、西洋のモダニズム芸術の伝統に由来する大型絵画を制作している。

 ペインティングという手法に内在する創造性と異種交配の可能性を探求するポアは、様々な美術史へとつながっていくイメージとプロセスによって、文化の交わりを芸術的な革新性を導くものとして提示。さらに「ただひとつのオリジナリティが存在する」という考え方を攪乱することを試みている。

 そんなポアの日本初個展「Returnee」が、東京・銀座のTHE CLUBで開催される。本展では、複数のシリーズを含む新作を披露。ポア自身の多国籍的な経歴や、人と物とイメージの交差をめぐる歴史への関心を反映した作品群に、深い洞察を得たい。

編集部

Exhibition Ranking