11月22日にリニューアル・オープンを迎えた渋谷パルコ。そのカルチャー部分を担う中心施設、「PARCO MUSEUM TOKYO」と「GALLERY X」で、オープニング展覧会「AKIRA ART OF WALL Katsuhiro Otomo × Kosuke Kawamura AKIRA ART EXHIBITION」が開幕した。
本展は、渋谷パルコ建て替え工事の仮囲いを美術演出し、大きな注目を集めた「ART WALL」を再度巨大コラージュ作品として展示する展覧会だ。
この「ART WALL」は、日本を代表するマンガ家・映画監督である大友克洋の代表作『AKIRA(アキラ)』の世界を、コラージュアーティスト・河村康輔と共同で再構築した作品。「PARCO MUSEUM TOKYO」では、約2年にわたり渋谷の街を見つめてきた「ART WALL」を工事現場から再発掘。時間と共にダメージを受けた仮囲いが、再度巨大コラージュ作品としてギャラリー内に出現した。
また館内では、大友による貴重な原画を展示するとともに、『AKIRA』作中に登場する台座をリアルに再現。『AKIRA』で音楽を担当した山城組のBGMが鳴り響く、「ネオトーキョー」(『AKIRA』の舞台)を体験できる空間となった。
いっぽう地下1階の「GALLERY X」では、巨大化した「鉄雄」のインスタレーションを、立体とプロジェクションによって展示。まさに立ち上がらんばかりの、強い存在感を放つ。
今回、展覧会のメインとなった「ART WALL」について、大友はこう語る。「ストーリーを追いかけるのではなくグラフィック的なものをやろうと思ったんです。破壊された街(のモチーフ)と、建設中のビルというコントラストが良かったですね。河村くんとの打ち合わせはPCでやっていたので、できあがると現場に見に行ったりもしたんですよ。外で見るとそんなに大きくない感じがしてたけど、ギャラリーで見ると大きいよね」。
いっぽうの河村も、今回の展示で「ART WALL」をあらためてこう振り返った。「屋外と屋内の見え方の違いがよくわかりますね。引き伸ばしてもここまで細かいのはすごい。どれだけ元が細かいのかということ」。
仮囲いから展覧会へと発展した「AKIRA ART WALL」。これだけでも渋谷パルコに行く価値があると言っても過言ではない。
「街に出ることが大事ですよ。街は生きてますからね」。そう語る大友の言葉通り、街に出て、ふたりのアーティストの共演を目撃してほしい。