参加団体は約300組。過去最大規模のTOKYO ART BOOK FAIRが開幕

今年で10回目を迎えるTOKYO ART BOOK FAIRが、3月にリニューアルオープンした東京都現代美術館で開催中だ。初日から会場の入口には長蛇の列ができ、フェアに対する高い期待をうかがわせた。美術館という空間だからこそできる充実した企画展示を中心に、会場の様子をお届けする。

会場風景

 今回のTOKYO ART BOOK FAIRは、東京都現代美術館が会場になったことで、地下の企画展示室のスペースを贅沢に使った、大規模で充実した企画展示が目を引いた。

 「Radical Pages: A Selection of American Zines」は、ニューヨークを拠点にアーティストのコミュニティを育成、支援する非営利団体「8-Ball Community」による展示だ。「8-Ball Community」が所有するZINEのコレクションから厳選された、ZINEの歴史を語る上で重要となる約150タイトルが展示されている。会期中にZINEをブースに持参すると、彼らのコレクションに加えてもらえるというプログラムも実施中だ。

アメリカの歴史的なZINEが展示された「Radical Pages: A Selection of American Zines」

 さらに「8-Ball Community」が2013年に手がけ、ブルックリンの駅構内に期間限定でオープンさせた自費出版の本を取り扱うスタンド「The Newsstand」の東京バージョンも設置されている。ピンク色のスタンドに並べられたZINEを言い値で購入できるなど、当時のインディペンデント精神がそのまま再現されている。

会場に出現した「The Newsstand」の東京バージョン

 2007年から10年間にわたりサンフランシスコで発行された雑誌『The Thing Quarterly』を紹介する展示もある。『The Thing Quarterly』は、ミランダ・ジュライ、ガブリエル・オロスコ、ライアン・ガンダーといったアーティストとともに制作したアートオブジェクトを、雑誌としてパッケージングし販売するプロジェクトだ。生活のなかで愛されるアートを提案し、アメリカの現代美術シーンで確かな存在感を放っていたその活動を、実物を見ながら振り返ることができる。

名だたるアーティストによる歴代の『The Thing Quarterly』が並ぶ

 世界中の美術館やギャラリーで制作された展覧会のカタログを一同に集めた「Catalogue Collections」も2016年以来の復活となった。21_21 DESIGN SIGHT、横浜美術館といった美術館や、マリアン・グッドマン、ペロタン、資生堂ギャラリーといった国内外のギャラリーの協力のもと、デザイン性も高く見応えのあるカタログが出揃う。なお、この企画はアートEC「OIL by 美術手帖」でも8月15日までの期間限定で開催される。

希少価値が高いものから最新のものまで多彩な展覧会カタログが並ぶ「Catalogue Collections」

 7月14日には小林エリカとミヤギフトシによるトークイベント「僕らがアーティストブックを作る理由」、7月15日には大竹伸朗による『ビル景 1978-2019』の刊行を記念したトークなど、アーティストによるトークイベントも予定されており、こちらも多くの人を集めることだろう。

 アーティストやデザイナーの創作物を直接購入できるだけでなく、見応えのある展示企画も用意されたTOKYO ART BOOK FAIR。この週末に足を運んでみてはいかがだろうか。

会場風景
会場風景

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