市況の不透明感が漂うなかでも、国際メガギャラリーの販売には大きな陰りは見られなかった。ハウザー&ワースは、現在ソウル市内外の美術館で個展を開催している3人のアーティスト──マーク・ブラッドフォード(アモーレパシフィック美術館)、イ・ブル(リウム美術館)、ルイーズ・ブルジョワ(ホアム美術館)──の作品を出品。初日にはブラッドフォードの三連作がアジアの個人コレクターに450万ドルで売却されたほか、ブルジョワの作品2点が95万ドルと60万ドル、イ・ブルの作品2点も30万ドルと40万ドルで成約した。初日だけで計12点、総額約800万ドルに上る売上を記録したという。

タデウス・ロパックも初日にゲオルク・バゼリッツの絵画(180万ユーロ)を含む約10点を販売した。ギャラリーのグローバル・シニアディレクター(コミュニケーション&コンテンツ)のサラ・ラスティンは、「現地での関係を育むことがギャラリーやアートフェアにとってもっとも重要です。現在は真剣なコレクターこそが作品を探し、購入しています。ソウルは見るべきものが多い都市である以上、国際的な来訪者を維持できるでしょう」と語った。
韓国を代表するギャラリーも健闘した。Kukje Galleryは初日に15点を販売し、そのなかにはジェニー・ホルツァーの作品(40〜48万ドル)が含まれる。Gallery Hyundaiもチョン・サンファの作品(約60万ドル)やジョン・パイの作品(約30万ドル)を販売し、堅調な成果を示した。

日本からは、今年フリーズ・ソウルに初めて出展するオオタファインアーツを含む20のギャラリーが参加した。タカ・イシイギャラリーはイギリス人作家ジャデ・ファドジュティミの個展形式で出展。Take Ninagawaは、現在東京都現代美術館で個展を開催中の笹本晃の映像や立体作品、䑓原蓉子のテキスタイル、青木陵子の立体などを紹介した。代表の蜷川敦子によれば、オープン直後にすでに約5点が売約済みで、そのなかには大竹伸朗の大作をアメリカの美術館パトロンが開幕10分以内に購入したケースも含まれるという。


若手作家の個展を紹介する「Focus Asia」セクションでは、東京から初参加したCON_が横手太紀のコンクリートを用いたキネティック・スカルプチャーを出展し、多くの来場者が足を止めて写真・動画を撮影する光景が見られた。隣のブースで同じく東京のPARCELはアーティスト・コレクティブ「SIDE CORE」のインスタレーションや映像作品を展示し、都市空間をテーマとする両者の作品が呼応する場面が印象的だった。VIPプレビュー初日には、CON_が横手の作品5点(単価5000ドル)を販売したという。





















