今年の秋、京都のアートシーンはかつてないほどの盛り上がりを見せている。第4回の「Art Collaboration Kyoto」(ACK)の開幕とともに、京都市内では大小数十の展覧会が同時に開催されている。
市内の主要な美術館やギャラリーの展覧会に加え、両足院では加藤泉とボスコ・ソディによる「黙: Speaking in Silence ‒Bosco Sodi & Izumi Kato」が開催され、両者の作品のあいだで静かな対話が展開されている。またサンパウロやブリュッセル、パリ、ニューヨークに拠点を持つMendes Wood DMは、大徳寺黄梅院でブラジル出身のアーティスト、ルーカス・アルーダの個展「At Twilight」を開催中。一般公開の少ない黄梅院における初の絵画展だ。ロサンゼルスのギャラリー・ノナカ・ヒルは、祇園に新たなスペースをオープンし、こけら落としとして今井麗の個展「ARCADIA」を見せる。
さらに、2019年から開催されてきたアートフェア「artKYOTO」は、今年初めてACKと同時期に開催されており、今年は東本願寺の飛地境内である名勝・渉成園が新たな舞台になった。Art Rhizome KYOTOが主催する展覧会「逆旅京都」も市内10ヶ所の公共空間で開催されており、京都にゆかりのある14名の若手アーティストの作品を展示。まさに町全体を会場にした小さなアートフェアと言える規模だ。
今年のACKには、昨年の64ギャラリーを上回る69のギャラリーが参加。ペロタンやGalerie Tenko Presents(東京)、昨年京都に設立されたOSCAAR MOULIGNE、そして一部の海外のゲストギャラリーは今年初参加を果たした。
昨年、ACKがアートウィーク東京と隣り合わせの会期で開催されたことにより、多くの海外コレクターやアート関係者がその週末に集中して京都と東京を訪れるようになった。両イベントは今年も同様の会期で開催され、海外のアート界ではこれがひとつの共通認識となりつつあり、国際的なアートカレンダーにおいて10月末から11月初頭の見逃せないイベントとして確固たる地位を築いている。
そのため、今年のACK会場には海外からの来場者が増えた印象があった。また、今年は会場デザインも刷新。昨年は、いくつかの「広場」のようなスペースにギャラリーが取り囲み、中央エリアに向かって開くというデザインであったが、今年のギャラリーブースは異なる入口が設けられている。これにより、フェアを探索する楽しみが一層増している。