展示作品のハイライト
会場入口にブースを構えるKAYOKOYUKI(東京)と前述のMendes Wood DMは、土や自然に関連する作品を一連に展示。KAYOKOYUKIでは、今村洋平がシルクスクリーン技法で数百回もインクを重ねることで独特の質感を生み出す作品や、大田黒衣美が卵の殻や写真を用い、自然や動物をテーマにした作品を展示している。
昨年、タカ・イシイギャラリーと共同出展したMendes Wood DMは、今年はソランジュ・ペソア、ポーラ・シエブラ、ミゲル・バクンの3名の作品を紹介。ギャラリー共同創設者のひとり、ペドロ・メンデスは、昨年と比較して今年はさらに多くの観客が異なる地域から集まっていると感じたと語り、「京都では目を閉じて外の世界の困難から少し離れ、自分のなかに深く浸ることができる」と述べた。
会場の中央に位置するTARO NASUとMatthew Marks Gallery(ニューヨーク)の共同ブースでは、スターテヴァントのインスタレーション《Gonzalez-Torres Untitled (America)》(2004)が展示され、来場者の多くがフェリックス・ゴンザレス=トレスの作品かと尋ねる様子が見られた。スターテヴァントは、自身と同時代のアーティスト作品を「再演」することで知られており、同作は60万ユーロの価格で販売されている。また、同ブースにはエルズワース・ケリーの絵画作品も展示されており、価格は200万ドル以上。今年のACKにおいてもっとも高価な作品とされる。
今年2度目のACK参加となるノナカ・ヒルは、無人島プロダクション(東京)とCrèvecœur(パリ)との共同ブースで、出津京子やケンジ・シオカワなどの作品を展示している。ギャラリー創設者のひとり、ロドニー・ノナカ・ヒルは、「前回の参加で京都が国内で様々な活動を促進するための拠点となり得ることを実感した。ここでの展示を通じて、日本におけるギャラリープログラムがより充実し、歴史と現代のアートをつなぐ一歩になれば」との期待を寄せている。
SCAI THE BATHHOUSEとTanya Bonakdar Gallery(ニューヨーク)は、それぞれヘ・シャンユとアナリア・サバンの「都市構造」をテーマにした作品を展示。糸や銅を編み込んだ複雑な技術を用いたサバンの作品はMoMAやハーシュホーン博物館などの名だたる美術館にも収蔵されている。今年ベルリンから北京に拠点を移したヘは、中国の都市構造や資本主義の浸透をテーマに、レッドブルやタバコのモチーフを通じて社会に問いかける作品を発表。ACK期間中、ヘは京都のARTROと曼殊院でも個展を開催している。