日本のギャラリーからも、韓国のアーティストを積極的に取り上げようという動きが目立った。SNOW Contemporaryは韓国の俳優、ハ・ジウォンの絵画シリーズを展示。Gallery Qは植物画を描いてきたキム・ソウルの、アクリルを重ねてレイヤー化した作品を展示。衆目を集めていた。
また、昨年に続き出店したアートフロントギャラリーでは、今年も水戸部七絵が多くの作品を展示。アメリカのトランプ前大統領の肖像画シリーズは、銃撃事件を受けて負傷した耳が描き加えられたもの。政治動向に敏感で自国の大統領への監視の目を光らせる韓国の人々はこうした米大統領選挙の動向をどのようにとらえるのか、という問いかけも込められているという。
今回、新たに追加された2階の展示スペース「ザ・プラッツエリア」では、広めの展示スペースを活かして各ギャラリーがそれぞれ3作家を紹介するというプレゼンテーションが行われており、日本のギャラリーとしてはbiscuit galleryとMEDEL GALLERY SHUがここで展示していた。
この2階スペースではソウルのアーバン・アート・ラボの所長、スンア・リーがキュレーションを担当する「Kiaf on SITE」のプログラムのひとつ、未来のハイパーコネクテッド社会を提案する「The WONDER」 がVR空間を紹介。こちらも韓国の新しいアートの動向を紹介する試みだ。
昨年とは傾向を違え、再び大御所から若手まで、幅広く韓国の作家に焦点を当てた展覧会ともいえる今年のKiaf SEOUL。韓国美術の現在地を知るという点では、Frieze Seoulとはまた異なる魅力を持つアートフェアになっているといっていいだろう。