スイス、アルプスの山間に新たな文化拠点。アートホテル兼レストラン「チェーザ・マルケッタ」が開業【2/2ページ】

 館内には、エンガディンに滞在した芸術家や思想家の物語に着想を得た、歴史的作品から現代美術まで幅広いコレクションが配されている。レストラン空間には、ジャコメッティによる1950年代のアトリエを描いた作品をはじめ、フィリップ・ガストンの絵画、オランダ絵画の系譜を伝えるアドリアーン・ファン・オスターデの作品などが展示され、食と美術が自然に交差する構成となっている。

The Pearl Mussel Bedroom

 ラウンジバーでは、ルイーズ・ブルジョワの彫刻作品や、ニコラス・パーティの鮮やかな絵画が空間を彩るほか、ジェイソン・ローデスによるシャンデリア作品が強烈なアクセントに。また館内の回廊や共用部には、スボード・グプタ、ダニエル・スペーリ、ヴァレンティン・キャロンらの作品が点在し、滞在そのものが展示体験へと拡張されている点も大きな特徴だ。

レストランの様子
レストランの様子

 屋外には、ウィリアム・ケントリッジやポール・マッカーシーによる彫刻作品が設置され、雄大な自然と現代美術との対話を生み出す。

 建築設計は、アートファームおよびハウザー&ワースの数々の空間を手がけてきた建築家ルイス・ラプラス(Laplace)が担当した。レストランでは、かつてのオーナーであったマリアとクリスティーナ・ゴドリーの哲学を継承し、イタリアとスイスの食文化を融合させた季節料理を提供する。宿泊客に限らず、一般客の利用も可能だ。

 芸術、建築、食、そして土地の記憶が重なり合うチェーザ・マルケッタは、アルプスの山間における新たな文化的デスティネーションとして注目を集めそうだ。

チェーザ・マルケッタの外観