8月7日から国立新美術館で始まる田名網敬一の世界初の大規模個展「田名網敬一 記憶の冒険」。本展の開催にあわせ、4冊のアーティストブックが出版レーベル「?/ˈsɪmbl/」によって同時にリリースされる。
最初の作品集『Quo Psyche “魂の行方”』は、田名網のペインティングを中心に、様々な形態の作品をA3変形サイズの250ページにまとめた大型本。限定1200部の販売となっており、形式にとらわれない独自の表現を追求する田名網のキャリアを俯瞰し、その世界観を堪能できるものだ。また、田名網の希望により、芥川賞作家・朝吹真理子が書き下ろした小説『きんぎょのひるね』も収録されており、書籍の限界に挑んだものとなっている。
次に、『BLINK』は、田名網の原点ともいえるドローイング作品を多数収録したもの。曖昧で不確かな現代アートの本質を探求するための道標として、田名網が全キャリアを通して描き続けたドローイング作品の理由を探ることができる。
『CRASH』は、田名網の創造性と独自性を形成する記憶をテーマにしたコラージュ作品に焦点を当てている。相容れない事象を融合させる田名網の魔術的な創造性を理解するための一冊であり、記憶やイメージを可視化する彼の独自の構想力が、現代社会を生き抜くためのヒントを与えてくれる。
最後に、『SPARK』は、田名網が手掛けたポスター、レコードジャケット、版画などのプリンティング作品を年代順にまとめたものだ。複製でありながらもオリジナリティを追求する田名網のプリンティング技術がいかにして現代アートを体現してきたかが明らかになる。
これら4冊の書籍に加え、『BLINK』『CRASH』『SPARK』の3冊をボックスにパッケージした特装BOXセットや、全4冊を収めた特装オブジェクトセットも発売予定。また、アーティストブックの発売を記念して、銀座、代官山、京都、京都岡崎の蔦屋書店では8月7日から約1ヶ月間、「田名網敬一フェア」も開催される。フェア会期中には田名網のアニメーション作品の上映会などのイベントも予定されており、多彩なコンテンツを通じて田名網の世界を体験できる機会となるだろう。