川崎重工と国立西洋美術館がオフィシャルパートナーシップを締結。無料観覧日も新設へ

国立西洋美術館の母体となった松方コレクション。そのコレクションを形成した松方幸次郎が初代社長を務めた川崎重工と国立西洋美術館がパートナーシップを締結した。

記者発表にて、左から田中正之(国立西洋美術館館長)、橋本康彦(川崎重工業CEO)

 川崎重工業株式会社と国立西洋美術館が3月17日にパートナーシップを締結した。今後は「アートの力を活かした豊かな社会づくり」を目指す。

 国立西洋美術館は、フランス政府から寄贈返還された「松方コレクション」の保存公開を目的に設立された。このコレクションを築いた松方幸次郎(1866〜1950)が初代社長を務めたのが、川崎造船所(現・川崎重工)だ。このように深い縁のある両者が、このたび初のパートナーシップを締結した。

国立西洋美術館

 両者はこのパートナーシップをもって「すべての人々が平等に芸術鑑賞できる機会の提供」を目指すとしている。具体的な今後の取り組みとしては、次のようなものが計画されている。

 まずは、国立西洋美術館の所蔵作品展の無料観覧日「Kawasaki Presents Free Day(仮称)」の設定。4月1日以降、原則毎月第2日曜日に開催する予定だ。また、映像やデジタル技術を活用したコンテンツの拡充や、所蔵作品を深く知るための鑑賞体験プログラムの充実といった取り組みも実施することで、より多くの人が広く美術に触れる機会を提供するという。

 本パートナーシップは特定の事業についての支援ではなく、美術館全体への支援を行うかたちとなる。とくに同館が大きなミッションとして掲げている松方コレクションの調査・研究についてはどのように貢献するのだろうか。田中館長は次のように語る。「松方コレクションには、コレクションしていたことがわかっているものの、散逸してしまい現在は所在不明の作品もあり、海外の調査機関の協力のもとでの調査が必要。また、同時代の資料等がマーケットに出ることもあり、そういったものも可能であれば蒐集していきたい。今回のパートナーシップを通じて、こうした調査をさらに進めていければ」。

 今後、どのような取り組みが具体化するのか、注目が集まるところだ。

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