2022.6.27

国立工芸館、顧問に宮田亮平・前文化庁長官が就任へ。館長への助言など担う

金沢にある国立工芸館(東京国立近代美術館 工芸館)の顧問として、宮田亮平・前文化庁長官が就任することが決定的となった。

国立工芸館(2020年10月撮影)

 今年元旦、金沢の『北國新聞』が、国立工芸館の新ポスト「顧問」に宮田亮平・前文化庁長官が就任すると報じた件について、進展があった。

 同紙は6月27日の朝刊で、宮田氏の顧問就任が7月1日付となることを報道。同館を運営する独立行政法人国立美術館は「美術手帖」の取材に対し、現時点で就任日などは「相談中」と回答しているものの、地元有力紙である『北國新聞』の報道は確度が高いものだと思われる。

 宮田氏の就任については昨年10月、一般財団法人石川県芸術文化協会と一般財団法人石川県美術文化協会から「地元の総意として、宮田前文化庁長官を国立工芸館顧問に迎えたい旨の要望があった」ことから始まり、国立工芸館は顧問就任の打診に向けた日程調整に着手していた。

 宮田氏は2005年から16年にかけ東京藝術大学で学長を務めた後、16年から21年まで文化庁長官。また今年5月31日付で、日本最大の公募団体展「日展」を主催する公益社団法人「日展」の理事長に就任している。

 国立工芸館は現在、東京国立近代美術館の分館として運営されているが、この枠組から独立させ、新たな国立美術館のひとつとする機運が地元・金沢で高まっている。北國新聞は、今回の宮田氏の顧問就任が「独立の第一歩」になると強調しており、今後の動きも注視したい。

 なお、国立工芸館ではすでに中田英寿氏が名誉館長を担っている。名誉館長と顧問の役割分担について国立美術館は、名誉館長が情報発信を主とするのに対し、顧問は館長の諮問に応じて地域との連携推進などについての助言を行うとしている。

7月1日追記:宮田氏の国立工芸館顧問就任が正式発表された。