文化庁の「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金不交付決定問題に関し、この補助金採択の審査に関わっていた審査員のひとり、鳥取大学特命教授・野田邦弘が2日に辞意を伝えたことがわかった。
野田は文化政策の専門家であり、過去「あいちトリエンナーレ」で実行委員会委員を務めた経験もある。今回の不交付決定について、「審査にあたっては、審査員が関わる内容と事務的な手続きの2段階がある。今回は後者にあたり、全額取り消しは本来ありえない。苦しまぎれの理屈」と語る。補助金不交付については、事前に審査員への連絡はなく、連絡が来たのは文化庁が9月26日に発表した後だったという。
また今回の決定がおよぼす影響については、次のように話している。「あいちトリエンナーレに限らず、今後ヨコハマトリエンナーレなど類似の催しがある。また美術だけでなく、音楽や舞台芸術を含めて、国の補助金を得るために忖度してしまう可能性がある。芸術にとどまらず、宗教や学問、科学研究などありとあらゆる人間の知的活動全般に広がり、日本の国力そのものが希釈されてしてしまう」。
現時点で、宮田亮平文化庁長官は一切のコメントを出していないが、「文化庁長官は日本の文化行政を代表する顔。ましてや宮田長官はアーティストなので、なんらかの声明は出すべきだ」と強調した。