千葉競輪場跡地に建築された新しい競技施設「千葉JPFドーム」。そのメインエントランス側のホワイエスペースに、松山智一の作品が常設展示される。
まず入って正面に見えるのが、幅30メートルにおよぶ巨大な壁画《A Daunting Task》。「終わりのない手仕事」を意味する同作について、松山はステートメントの中で「移ろいゆく世の中にありながら、それでもひとつの場所に根を張り、挑み続ける人間の強さと素直さを表現している」と語っている。「背景には鮮やかな色が施されているが、それとは対照的に主役である花には彩色が施されていない。無彩色の花は、持続やプロセスのなかで自己発見や自己成⻑を遂げる我々自身の存在に問いかける意図を込めている」。
この壁画の前に設置されたのが、高さ約4.5メートルの迫力ある彫刻《Glory Slowly》と《Immortality Morality》。それぞれ向日葵が咲き誇りと、枯れた向日葵がモチーフとなり、生命の表裏一体性を示した2作品には、月桂樹や中世の神格化された文様、験担ぎのアイコンなどからなる3つの輪の造形が組み込まれている。
松山は同作について、「盛者必衰・輪廻転生・起死回生といった人間の営みや生命力、超えるべきハードルや挑戦の連鎖があって我々は存在するというリアリティを、対となった彫刻が力強く表現している」とコメントしている。
なお、10月2日に開業する千葉JPFドームは、新しい自転車トラックトーナメント「PIST6 Championship」を同日より開催。トーナメントの優勝トロフィーも松山によってデザインされている。