コロナ第2波に苦しむヨーロッパ。美術館は休館か再開か

新型コロナウイルス第2波の影響を受けてふたたび規制が強化されたヨーロッパでは、ロックダウン措置の緩和や文化施設の再開計画が見直された。フランス、イギリス、ドイツの美術館や博物館はどうなるのだろうか?

パリ Photo by Rodrigo Kugnharski (C) Unsplash

 10月30日より全土を対象に外出禁止令を発令しているフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、移動制限措置の緩和および文化施設の再開計画を発表した。

 3段階に分けられた再開計画では、ギャラリーや書店、図書館、レコードショップ、アーカイブが11月28日より再開可能。1日あたりの新規感染者が5000人以下に減少した場合、美術館や博物館、映画館、劇場などの文化施設は12月15日より再開することができる。

 マクロン大統領はテレビ演説で、「文化は自由市民としての私たちの生活に欠かせないものだ」としつつ、文化芸術従事者に対して次のように感謝を述べている。「文化部門の皆さんには本当に感謝しており、応援している。私たちは彼らに多くを求めてきたが、彼らはこの困難な時期に、堅固な姿勢を貫き、創造し、革新し、新しいオーディエンスを見つけてくれた。私たちは彼らを必要としており、私たちの仲間の市民が自分たちの人生を生きることができるようにする必要がある」。

 いっぽう、11月5日から12月2日までの4週間にわたるロックダウンが行われているイギリスでは、ロンドンを含む、新型コロナウイルス感染拡大の警戒レベルが「中程度」のティア1と「高い」ティア2の地域の美術館・博物館が12月3日より再開することが許可。警戒レベルが「非常に高い」ティア3の地域の施設は再開がまだ禁止されている。

大英博物館のグランド・コート (C) Pixabay

 この状況についてイギリス博物館協会の政策マネージャー、アリスター・ブラウンは、次のような懸念を表している。「私たちは、博物館部門が何を期待できるか、どの段階にいるのか、また何のために計画する必要があるのかを明確にしたいと考えている。ティア3での開館が許可される組織はほかにもたくさんあるのに、なぜ博物館がそのなかにカウントされていないのか、本当に明確ではない。博物館は新型コロナウイルスに対する安全対策を講じており、安全ではない場所であると信じる理由はない」。

 イギリス政府が11月26日に更新した各地域の警戒レベルのリストによると、現時点ではマンチェスターやバーミンガム、ブリストル、レスターなどの主要都市がまだティア3に含まれている。これらの地域では、美術館や博物館などの公共スペースで最大6人の屋外での集会が認められているが、屋内の施設や自宅の庭などでの他世帯との集会が禁止されている。

 また、11月2日から美術館や博物館がふたたび休館となったドイツ。アンゲラ・メルケル首相は11月25日、全国的なロックダウンを12月20日までに延長することを発表。この決定に対してドイツ博物館協会は、「この決定は博物館にとってかなりの制限を意味しており、多くの館は収入不足のために存続が危ぶまれている」としつつ、次のように訴えている。

ベルリン Photo by Jonas Tebbe (C) Unsplash

 「博物館はたんなるレジャー施設ではない。体験と教育の場として、社会の積極的な発展に欠かせないもので、とくに危機的な状況下では、支援、希望、自信を与えてくれる。博物館は、文化財との出会いを可能にし、交流と創造的な議論の機会を提供する」。

 同協会の会長、エッカート・ケーネはさらにこう強調している。「博物館は、私たちの社会がいま、緊急に必要としている安全な場所であるため、この決定を残念に思う。しかし、私たちはこの政治的な決定を受け入れ、連邦各州の文化大臣に、博物館が一日も早く再開されるように努力することを求める。また、パンデミックがさらに拡大した場合でも美術館・博物館へのアクセスを保証し、それらを存続させるための新たな中長期的な戦略が必要だ」。

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