過去2週間で新型コロナウイルスの新規感染者が急増し、感染拡大がふたたび深刻となっているアメリカ。その影響を受け、スミソニアン博物館やワシントンDCにあるナショナル・ギャラリーが再度休館することを発表した。
6月より段階的に再開してきたナショナル・ギャラリーは、11月21日より西館と彫刻庭園を休館させ、東館は改修工事のため休館のままとなる。いっぽう、9月中旬より再開し始めたスミソニアン博物館は、国立動物園を含むすべての施設を23日から臨時休館させる。
2館とも再開日を明らかにしておらず、スミソニアン博物館は、休館の決定について声明文でこうコメントしている。「当施設の最優先事項は、来館者とスタッフの健康と安全を守ることです。この休館時間を利用し、リスクを軽減するための追加対策を再評価・監視・検討していきます。私たちは、地方自治体、公衆衛生当局、疾病対策予防センターからのガイダンスを注意深く監視しています」。
また、イリノイ州知事が17日に発表した州全体の制限に伴い、シカゴ美術館をはじめとするシカゴの主要美術館・博物館は続々と休館を発表。ミネアポリス美術館やフィラデルフィア美術館などの主要美術館も休館となり、年内には再開する予定がないと示した。
いっぽう、今年3月に新型コロナウイルスの感染状況がもっとも深刻だったニューヨークでは、感染再拡大を受けて市内の公立学校がふたたび閉鎖。メトロポリタン美術館やニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館、ニューヨーク公共図書館などの施設はまだ開館しているが、再度休館となる可能性も高まっている。
アメリカ博物協会が今年8月に発表した調査によると、アメリカの博物館は財源枯渇のため、3分の1が再開できない可能性があるという。同協会の会長兼CEOであるローラ・ロットは、「博物館を救うためには、公私の資金供給が必要なのだ」とし、政府と民間からの支援の重要性を強調している。