メトロポリタン美術館などがサウジに「NO」。ジャーナリスト殺害事件を受けて

サウジアラビア当局がジャーナリストのジャマル・カショギを殺害した疑いが高まっているなか、アメリカのメトロポリタン美術館とブルックリン美術館がサウジアラビア政府やその国が支援している団体からの資金援助を受け入れないと宣言した。

メトロポリタン美術館 出典=ウィキメディア・コモンズ

 今月初頭にサウジアラビア当局がトルコのサウジアラビア総領事館で記者のジャマル・カショギを殺害した疑いが高まっているなか、アメリカのメトロポリタン美術館とブルックリン美術館が、サウジアラビア政府やその国が支援している団体からの資金援助を受け入れないと宣言した。

 「アラブ美術と教育イニシアチブ(Arab Art & Education Initiative)」というニューヨークの主要な美術機関で行われる1年のプログラムの一環として、ブルックリン美術館では現在「シリア、当時と現在展(Syria, Then and Now: Stories from Refugees a Century Apart)」が開催されており、メトロポリタン美術館では中東美術のキュレーションに関するセミナーが今週行われる。

 アメリカのメディア、ニューヨーク・タイムズ紙によると、メトロポリタン美術館長のダニエル・H・ワイスは、「最近の動きを踏まえ、博物館はこのイベントを自費で開催することに決めた」というメモをセミナーの参加者たちに送った。同館は、このイベントのためサウジアラビアより約2万ドルを受け入れていたという。

 また、ブルックリン美術館は、「最近の出来事に照らし、国際社会の懸念と一致するため、『シリア、当時と現在展』にサウジアラビアの資金を使わない決意をした」とコメントしている。

 なお、当初よりサウジアラビアの資金を受け入れていない機関としてコロンビア大学は、サウジのアーティスト、アーメド・メーターのトークイベントを延期。いっぽう、ニューヨーク近代美術館は、クウェートのアーティスト、モニラ・アル・カディリのトークイベントを予定通り開催する。

 世界で注目を集めるこの事件は、アート界に今後も影響を与えそうだ。

編集部

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