1946年長野県生まれの藤森照信は、近代建築史・都市史研究者として多くの業績を残したのち、44歳のとき《神長官守矢史料館》(長野県茅野市、1991)を設計し、建築家としてデビュー。以後、約25年のあいだに40あまりの建築作品を発表している。
藤森の作品は、屋根にニラが植えられた住宅《赤瀬川原平邸(ニラハウス)》(東京都町田市、1997)や、自然木を柱にした鳥の巣箱のような茶室《高過庵》(長野県茅野市、2004)、 採土場をモチーフにした土壁が印象的な《多治見市モザイクタイルミュージアム》(岐阜県多治見市、2016)など、その独創性と自然素材の大胆な使用で注目を集めてきた。
本展では、藤森が取り組んできた「自然素材を現代建築にどう生かすか」「植物をどう建築に取り込むか」というテーマを軸に、代表的な建築をスケッチや模型で紹介するとともに、屋根、壁などの素材見本、家具、茶室などを展示。また、「路上観察学会」や「建築探偵団」など、藤森の初期の活動の資料も公開される。
会期中には、藤森による講演会やアトリエ・ワンとの対談、新作の茶室《せん茶》で行われる茶会などのイベントも予定されている。