第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展、日本館キュレーターはアトリエ・ワンの貝島桃代に決定

2018年5月から開催される第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館キュレーターが貝島桃代に決定。これに伴い記者会見が行われ、展示プランについて貝島が語った。

(左から)ヴェネチア・ビエンナーレ日本館キュレーターに就任した建築家の貝島桃代と、キュレーターチームの井関悠(水戸芸術館現代美術センター学芸員)

 ヴェネチア・ビエンナーレは、1895年に最初の美術展が開かれて以来、100年以上の歴史を誇る世界最大規模の芸術祭。現在、美術展、建築展、音楽祭、映画祭、演劇祭などを独立部門として抱えるが、なかでも建築展は美術展と交互に隔年開催され、現代の建築の動向を俯瞰する場として注目を集める。

 2018年に開催される建築展の日本館キュレーターを務めるのは、アトリエ・ワンの貝島桃代。キュレーターチームは、ETHZ Studio Bow-Wow、ロラン・スタルダー(スイス連邦工科大学チューリッヒ校建築理論教授、建築理論・建築史研究所所長)、井関悠(水戸芸術館現代美術センター学芸員)で構成される。展示タイトルは「東京発、建築民族誌ーー暮らしのためのガイドブックとプロジェクト」に決定した。

 これは、貝島が1996年から行ってきたプロジェクト「メイド・イン・トーキョー」をベースに、その深化をはかるもの。「メイド・イン・トーキョー」は、都市のフィールドワーク・観察に基づき、建築とともにその周囲にある暮らしを図化する建築ガイドブックの制作を中心としたプロジェクトで、ここで行われた都市観察の方法は自然発生的に世界各地で踏襲され、多くの成果を生んでいる。

 展示では、このプロジェクトが世界各地で呼び起こした同趣向のガイドブックを収集し、ひとつにマッピングして総覧するとともに、その広がりについて分析。また、ガイドブックから派生した建築の実践についてのレポートも紹介する。また、日本館のピロティ部分には「横丁」が制作され、建築・都市論の議論の場としてのカフェバーの運営や、参加建築家によるイベントなどを定期的に開催する予定だ。

展示プランについて解説する貝島

 貝島は「20世紀以降、建築というものが人の暮らしから遠ざかっている印象がある」とし、「(見えづらくなっている建築に対して)いま自分たちが暮らしている東京の建築の魅力を伝える方法として、ガイドブックという手法を用い始めた」と話す。

 また、今回のビエンナーレの「FREESPACE」という総合テーマについて、「建築家の意図だけでなく、暮らしている人々の実践の成果を取り上げる、つまり社会と呼応しながらつくられてきた結果としての建築を扱うということが、社会的な枠組みのなかでの可能性を表す『FREESPACE』というテーマに通じるのではないか」と語った。

 今後は、今年12月までに出展作家を選定し、来年5月からの展示に向け準備を進めていくという。

編集部

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