最後のピアノ演奏『Opus』を再構築
続く2027年1月8日〜17日には、『Opus — dialogue』が上演される。
本作のもととなるのは、坂本が2022年9月に収録した最後のピアノ・ソロ演奏を記録したコンサート映画『Opus』だ。坂本は闘病生活のなか、NHKの509スタジオで8日間にわたり全20曲を収録。その演奏を記録した映画は、全編モノクロームの映像によって坂本の晩年の姿を伝える作品となった。
今回の『Opus — dialogue』では、坂本が遺したMIDIデータをもとに、自動演奏ピアノがその演奏を再現する。データには一音ごとの強弱や間合い、ペダルの操作などが記録されており、それに従って実際のピアノの鍵盤やペダルが動き、ハンマーが弦を打つ。録音された音源の再生ではなく、ピアノそのものが音を奏でるという点が大きな特徴だ。
この作品を手がけるのは、ダムタイプのメンバーでもある古舘健と、アーティストの濵哲史。両者はこれまで坂本龍一と高谷史郎によるインスタレーション作品《LIFE - fluid, invisible, inaudible...》や、東京都現代美術館で開催された坂本龍一の展覧会「音を視る 時を聴く」、舞台作品『TIME』などに携わってきた。
今回、古舘と濵は『Opus』を新たなオーディオビジュアル作品として再構築。幅21メートル、高さ9メートルの巨大LEDスクリーンによる映像表現と、自動演奏ピアノが生み出す音を組み合わせ、坂本の演奏を空間全体で体験する作品をつくり出す。この公演は「program A」「program B」の2種類で構成され、「Merry Christmas Mr. Lawrence」「Aqua」「The Last Emperor」などが演奏される予定だ。
音楽のみならず、現代美術やメディア・アートの領域でも数々の先駆的な実践を重ねてきた坂本龍一。本プロジェクトは、演奏データという記録を通じてその音楽を再び立ち上げるとともに、坂本が生涯にわたって探究してきた音とテクノロジー、映像、空間の関係を新たな世代へと引き継ぐ試みとなりそうだ。

- 1
- 2



















