ハンス・ハーケのアジア初となる大規模回顧展が東京都現代美術館で開催。政治・経済・美術制度を問う60年以上の軌跡【2/2ページ】

鑑賞者の参加が作品に。2027年の日本社会への問い

 ハーケは、鑑賞者をたんなる受け手ではなく、作品を構成する一要素として捉える試みも続けてきた。

《MoMA投票》(1970) 展示風景:「全世界の未来(All the World’s Futures)」展、オクウ
ィ‧エンヴェゾー企画、第56回ヴェネチア‧ビエンナーレ国際美術展、2015年5月9日〜11月22日 © Hans Haacke / Artists Rights Society (ARS), New York / VG Bild-Kunst, Bonn. Courtesy the artist and Paula Cooper Gallery, New York.

 その代表例が《MoMA投票》(1970)だ。同作では、当時の政治情勢に関する質問を来場者に投げかけ、その回答を投票によって収集。鑑賞者の政治的な意思表示を可視化することで、美術館の展示空間に社会の動向を持ち込んだ。

 本展では、この「来場者投票」シリーズの新たな東京版も展示される。来場者の回答を社会調査の一形態として収集するこのシリーズは、鑑賞者自身の選択によって作品が構成されるものだ。

 自然環境を構成する物理的なプロセスから、政治や経済、美術制度を動かす仕組み、さらには鑑賞者自身の判断まで。ハーケが60年以上にわたって追究してきた様々な「システム」を通して、現代社会をかたちづくる関係性を捉え直す展覧会となる。

編集部