東京・北綾瀬の足立区立郷土博物館で、歌川広重の構図と視点に迫る収蔵浮世絵展「新版 広重目線」が開催される。会期は9月19日〜11月23日。
広重を「見せ方」から考える
1986年の開館以来、地域の歴史や民俗を伝えてきた足立区立郷土博物館は2025年4月にリニューアル。歴史と民俗に美術の視点を融合させた美術館機能を備えた施設となっている。開館40周年を迎えるなか開催される「新版 広重目線」は、幕末の浮世絵師・歌川広重(1797〜1858)の晩年の名作『名所江戸百景』を軸に、その独特な遠近法やトリミング、視点設定の妙を読み解くものだ。
広重は画面手前に巨大なモチーフを配置する手法や、隙間から風景を覗かせるアングル、鳥瞰的な視覚効果など、広重は景観の写生にとどまらない大胆な画面再構成を行ってきた。本展は2018年に同館で開催された「広重目線」展の5つの検証視点に新たな4つの視点を追加し、合計9つのアプローチからその「見せ方」の秘密に迫る構成となっている。
例えば新たに追加された視点「都合のいい目かくし」では、『名所江戸百景』の《市ヶ谷八幡》を取り上げる。門前町と高台の社殿との間に帯状の霞を横切らせることで、途中の景観を意図的に省略し、空間的な奥行きと目的地の存在感を際立たせる日本絵画の伝統技法が浮き彫りとなる。このように、要素を強調し、巧みな構図で鑑賞者の視線を誘う広重独自のビジュアル戦略を、多角的な視点から体系的に体感できる機会となりそうだ。





















