東京都写真美術館で「デュエット――アジアン・コンテンポラリー」が開催。日本と中国の写真・映像の現在を紹介

東京都写真美術館にて、日本と中国の現代写真・映像作品を紹介する展覧会「デュエット――アジアン・コンテンポラリー」が開催される。会期は9月30日〜2027年1月17日。

ジャン・ポンイー《Dark Addiction 1H43’24”》(2013)インクジェット・プリント 作家蔵 ©Jiang Pengyi, Courtesy of ShanghART Gallery

 東京・恵比寿の東京都写真美術館で、日本と中国の現代写真と映像作品を紹介する展覧会「デュエット――アジアン・コンテンポラリー」が開催される。会期は9月30日〜2027年1月17日。

 本展は、2018年に同館で開催された「愛について アジアン・コンテンポラリー」展に続くシリーズ第2弾。中国の写真文化を牽引する三影堂厦門撮影芸術中心のエグゼクティブ・ディレクター、滕青云(テン・チンユン)と同館学芸員の伊藤貴弘による国際共同企画として立ち上げられた。タイトルの「デュエット」が示すように、異なる声や視点をもつ作品が響き合い、時間や文化、個人の経験が交差する関係性を探る。

日本の公立美術館で初となる作品公開作家も

 出品作家は、日本から村越としや、fumiko imanoの2名、中国から王拓(ワン・トゥオ)、塔可(スイ・タカ)、罗洋(ルオ・ヤン)、蒋鹏奕(ジャン・ポンイー)の4名の計6名。中国作家4名はいずれも日本の公立美術館で初の作品公開となり、日本作家2名も同館での展示は初となる。

村越としや「より深い静けさのために風は唱う」より(2016)ゼラチン・シルバー・プリント 作家蔵

 村越としやは1980年、福島県生まれ。2003年に日本写真芸術専門学校を卒業後、09年に自主ギャラリー「TAP」を設立。日本写真協会賞新人賞などを受賞し、東京国立近代美術館やサンフランシスコ近代美術館に作品が収蔵されている。06年より故郷・福島を被写体に撮影を重ね、11年以降は県内各地へ足を運びながら、風景を通して土地の記憶や変化、知覚の違いを見出そうと試みている。

王拓《Smoke and Fire》(2018)シングルチャンネル4K 作家蔵 Courtesy the artist and WHITE SPACE

 王拓は1984年、吉林省生まれ。北京の清華大学美術学院およびボストン大学で絵画の修士号を取得。2017年より着手した映像連作「The Northeast Tetralogy」では、中国東北部を起点に歴史的出来事や民話、現代社会の事件を再構成し、時空を超えて土地の歴史の断層をあぶり出す。23年には香港M+主催のシグ・プライズを受賞するなど、現代中国を代表する映像作家のひとりだ。

塔可《Heaven Guards》(2025、「Odes」より)インクジェット・プリント 作家蔵

 塔可は1984年、山東省生まれ。2007年よりニューヨークのロチェスター工科大学写真学科で学ぶ。中国最古の詩集『詩経』に詠まれた地を巡った写真シリーズ「Odes」で連州国際写真年展年度写真家賞を受賞し、同作はメトロポリタン美術館にも収蔵された。新版写真集は26年「世界で最も美しい本」銀賞を受賞。歴史的なテキストや古典的風景を独自の写真表現へと昇華させている。

罗洋《San》(「Girls」より、2016)発色現像方式印画 作家蔵

 罗洋は1984年、遼寧省生まれ。瀋陽の魯迅美術学院卒業。同世代の女性たちを見つめた長期シリーズ「Girls」で国際的な注目を集め、2018年にはBBC「100 Women」に選出される。その後も被写体を広げ、Z世代の若者に迫る「Youth」(2019〜)や、欧州などに暮らすアジア系移民のアイデンティティを記録した「iaspora Birds」(2024)など、多層的な個人の生を捉え続けている。

ジャン・ポンイー《Dark Addiction 1H43’24”》(2013)インクジェット・プリント 作家蔵 ©Jiang Pengyi, Courtesy of ShanghART Gallery

 蒋鹏奕は1977年、湖南省生まれ。2014年に杭州の中国美術学院大学院修了。第1回三影堂写真賞ほか多数の受賞歴を持つ。写真というメディアの物質性と極限の可能性を追及しており、本展出品作「Dark Addiction」シリーズ(2013)では、蛍が発する生物光の軌跡をカメラを使わずフィルムに直接記録するカメラレス技法を採用。光と時間の生成プロセスを画面上に定着させている。

fumiko imano《our first dinner spaghetti/paris/2021》(2021、「le fumistol」より)フォトモンタージュ(発色現像方式印画) 作家蔵 ©fumiko imano

 fumiko imanoは1974年、茨城県生まれ。幼少期をブラジルで過ごし、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業。自己のアイデンティティへの問いからセルフポートレイト作品の制作を開始した。写真を切り貼りするアナログなフォトモンタージュ技法を用いて、画面の中に「架空の双子の姉妹」を出現させるユニークなコラージュ作品を国内外で展開している。

 会期中には、上海の復旦大学教授で写真評論家のグウ・ゼンを迎える国際シンポジウム(10月3日)のほか、手話を交えたQ&Aショー(12月12日)や、担当学芸員によるギャラリー・トークなど関連イベントも多数展開される予定だ。

編集部

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