「リシンク –舘鼻則孝と手しごと– 展」が女子美アートミュージアムで開催。創作活動15周年を記念しその軌跡をたどる

神奈川県相模原市の女子美アートミュージアムで、美術家・舘鼻則孝の創作活動15周年を記念する展覧会「リシンク –舘鼻則孝と手しごと– 展」が開催される。代表作から最新作までを通し、活動の軌跡を「手しごと」から紐解いていく。会期は9月10日〜10月6日。

舘鼻則孝《Heel-less Shoes "Night Makers"》(2018)個人蔵 ©︎NORITAKA TATEHANA K.K.

 神奈川県相模原市の女子美術大学相模原キャンパス内にある女子美アートミュージアムで、美術家・舘鼻則孝(1985〜)の創作活動15周年を記念する展覧会「リシンク –舘鼻則孝と手しごと– 展」が開催される。会期は9月10日〜10月6日。 

 舘鼻則孝は1985年東京都生まれ。2010年東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻卒業。創作活動の概念として「Rethink」を掲げ、日本古来の文化や美学を独自の視点から捉え直し、現代の価値観を問い直す作品を制作している。花魁の高下駄から着想を得た代表作《Heel-less Shoes》は、米国歌手のレディー・ガガに愛用されたことでも知られる。制作は彫刻・絵画・インスタレーションから舞台演出にまで及び、2016年にはパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を監督・演出。主な個展に「舘鼻則孝 呪力の美学」(岡本太郎記念館、2016)、「Distance」(山口県立萩美術館・浦上記念館、2023)など。2019年より女子美術大学デザイン・工芸学科工芸専攻で特別招聘教授を務めている。 

 本展では、舘鼻のクリエイションの背景にある「手しごと」に焦点が当てられる。彫刻や絵画、版画、インスタレーションなど多岐にわたる作品を通して、15年にわたる活動の全体像を一望する内容となっている。

創造の根底にある「リシンク」の思想

 舘鼻が活動の概念として掲げる「Rethink(リシンク)」は、日本の歴史や文化を単に継承するだけでなく、現代の視点から捉え直すことで新たな価値を生み出そうとする創造の姿勢を示している。

舘鼻則孝《Heel-less Shoes "Night Makers"》(2018)個人蔵 ©︎NORITAKA TATEHANA K.K.
舘鼻則孝《Heel-less Shoes "Atom"》(2023)鈴木コレクション ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by Osamu Sakamoto

 本展では、花魁の高下駄から着想を得たことで知られる代表作《Heel-less Shoes "Night Makers"》(2018)や、《Heel-less Shoes "Atom"》(2023)などを展示。分野を横断しながら制作を続けてきた作家の歩みを、ひとつの連続した流れとして紹介する。

創造の過程と貴重なコレクションの響き合い

 展覧会のテーマである「手しごと」を体現すべく、会場では完成した作品のみならず、素材研究や試作、制作工程、さらには日本各地の伝統工芸の担い手との協働にも光を当てる。19世紀から現代にかけて受け継がれ、舘鼻が実際に使用している靴づくりの道具なども展示し、作品が生み出されるまでの「手しごと」の積み重ねを提示する。

舘鼻則孝《Descending Painting "The Sun Breaking through Clouds"》(2023)作家蔵 ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION

 さらに、女子美術大学が受け継いできた貴重な染織コレクションと、そこから着想を得て制作された新作の絵画《Descending Painting "The Sun Breaking through Clouds"》(2023)などをあわせて展示。「リシンク」の視点による過去と現代の対話が展開される。

「Venus」を主題とした同時開催展

 また会期中には、同キャンパス内のJoshibi SPACE 1900にて、「舘鼻則孝展『Venus』」が同時開催される。

「舘鼻則孝展『Venus』」 ©︎NORITAKA TATEHANA K.K.

 女子美術大学の歴史や精神を象徴し、美術史における普遍的なモチーフでもある「ヴィーナス」を主題とした展覧会だ。新作となる大型肖像画を中心に、古代彫刻や神話に由来する図像を現代の肖像として再構成し、「アーキタイプ(原型)」としてのヴィーナスを捉え直す試みとなっている。同時開催展の会期は9月10日〜9月30日。