《落穂拾い》、ゴッホ《星月夜》など約110点が集結。東京都美術館で「オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」が開催へ【2/3ページ】

ダンスから始まる「歓び」の物語

 本展は5章にプロローグ・エピローグを加えた全7編で構成される。その幕開けを飾るのは「ダンス」をテーマとしたプロローグだ。古来、ダンスは祝祭や祈り、感謝、歓びを表現する手段であった。本展では絵画や写真、彫刻など多彩な作品を通して、その躍動感を体感できる構成となっている。「描かれている人物や物語を知らなくても、鮮やかな色彩や上昇する曲線、リズミカルな線や形だけでも心が弾むプロローグになると思います」と大橋は語った。

エドガー・ドガ《ル・ペルティエ通りのオペラ座の稽古場》(1872) キャンバスに油彩 32.7×46.3cm オルセー美術館 © GrandPalaisRmn (musée d'Orsay) / Tony Querrec / distributed by AMF

 第1章「自然の美を見出す」では、芸術家たちが身近な自然や風景に見出した歓びを紹介する。工業化と都市化が進むなか、自然はたんなる背景ではなく、芸術家たちが愛着や美しさを再発見する対象となった。

ジャン=フランソワ・ミレー《春》(1868-73頃) キャンバスに油彩 6.0×111.0cm オルセー美術館 © Musée d'Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Patrice Schmidt / distributed by AMF

 なかでもミレー《春》(1868-73頃)は、四季を描いた連作のひとつとして紹介される作品だ。暗い雲のかかる空に虹が架かり、地上には柔らかな光が降り注ぐ画面には、冬の終わりと春の訪れを告げるモティーフが随所に散りばめられている。

 第2章「よく食べ、よく働き、よく眠る」では、都市や農村で働き、支え合いながら暮らす人々の姿を描いた作品が並ぶ。なかでも教科書でも広く知られるミレー《落穂拾い》は、本展を象徴する代表作のひとつだ。

ジャン=フランソワ・ミレー《落穂拾い》(1857) キャンバスに油彩 83.5×110.0cm オルセー美術館 © Musée d'Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Patrice Schmidt / distributed by AMF

 この作品は、収穫後に畑へ残された穂を、土地を持たない貧しい農民が拾うことを許された「落穂拾い」という風習に着目する。3人の女性は、それぞれ異なる姿勢で穂を拾う姿が描かれ、腰を上げ下げする反復動作からは労働の過酷さもうかがえる。その背景には、刈り入れを終えた豊かな収穫や監督者の姿まで細かく描き込まれており、大規模農業経営の現実も映し出しているといえるだろう。

編集部