1990年のドイツ再統一によって消滅した「東ドイツ」で活躍した女性写真家たちに焦点を当てる企画展「もはやない国のかつてない光 東ドイツの女性写真家たち」が、神奈川県立近代美術館 葉山で開催される。会期は6月13日〜8月30日。

第二次世界大戦後に東西に分断され、1990年に姿を消したドイツ民主共和国(東ドイツ)。本展は、この「かつて存在した国」において写真家としてのキャリアを形成し、優れた芸術表現を残した15人の女性写真家たちを紹介する展覧会だ。東ドイツにおける彼女たちの活動は、ドイツ写真史において近年まで見過ごされてきた領域だった。本展では社会と日常の光景に向けられた繊細な視線と技術に注目し、それらの作品が視覚文化において果たした役割を検証する。
日本初公開となる貴重なヴィンテージ・プリント


本展では、ベルリンの現代美術コレクターであるスヴェン・ヘアマンが所蔵するヴィンテージ・プリントのコレクションを中心に展示が構成される。現在これらの作品は、旧東ベルリンの元工場を拠点とするラインベックハレン財団によって管理されており、日本でまとめて公開されるのは今回が初となる。ジビレ・ベルゲマン(1941-2010)、ウーテ・マーラー(1949-)、クリスティアーネ・アイスラー(1958-)、エフェリン・リヒター(1920-2021)など、当時から現在に至るまでの重要な作家として活動する15人の作品を展示する。
西ドイツ中心の現代写真史を相対化する視座

Galerie, Berlin
これまで日本国内で紹介されてきたドイツの現代写真は、ベルント&ヒラ・ベッヒャーやベルント・ベッヒャーの教え子であるアンドレアス・グルスキー、トーマス・ルフといった、デュッセルドルフ美術アカデミーを拠点とした旧西ドイツ側の作家が主流を占めていた。本展では、それとは異なるライプツィヒの美術大学で修業した写真家たちを中心に取り上げることで、多様な実践のあり方を提示する。
失われた時代の記録から、現在へと連なる映像作品まで

展示室では、旧東ドイツ時代の写真のみならず、再統一後に制作された近作や最新の映像作品、当時の刊行物などの参考資料もあわせて紹介される。
また、関連企画として、出品作家の来日にあわせて現在も精力的に活動している日本の写真家・石内都を招いたクロス・アーティストトーク「東と東:写真の場所、時間の距離」などのイベントも予定されている。失われた国で生み出された写真表現の軌跡に、体系的に触れることのできる貴重な機会となるだろう。


























