千葉市の千葉市美術館で、大正から昭和初期にかけてマルチな才能を発揮した小村雪岱(1887〜1940)の全貌にせまる大規模展「密やかな美 小村雪岱のすべて」が開催される。会期は4月11日〜6月7日。
雪岱は、日本画や書籍の装幀、挿絵、舞台装置、さらには映画の美術考証など、多岐にわたるジャンルで活躍した人物だ。装幀においては泉鏡花との共作に代表される繊細な意匠で新境地を拓き、挿絵では邦枝完二らと組んだ「おせん」や「お傳」といった美女を世に送り出している。また、舞台装置でも『一本刀土俵入』で新風を吹き込むなど、いずれの分野でも洗練された仕事を見せ、当時の大衆を魅了した。

本展では、東京美術学校入学後の18歳頃の作品から53歳での絶筆、そして没後の顕彰に至るまでを制作年順にたどり、前後期あわせて約650点の作品・資料を紹介。埼玉県立近代美術館の所蔵品や数々の個人コレクションから優品を集めて代表作を網羅し、雪岱の画業を「人」とのつながりから再考する試みとなる。

会場では、デビュー作である泉鏡花『日本橋』(1914)から晩年までの美麗な装幀本の数々を、高度な職人技とともに展観。あわせて、細く強靭な描線や潔く単純化した構図、独特な人物の姿態といった独自のスタイル「雪岱調」を確立した、挿絵の仕事にも焦点を当てる。加えて、近年発見された泉鏡花『山海評判記』の挿絵原画が関東で初公開されるほか、邦枝完二との連載小説『おせん』(1941)や『お傳地獄』(1935)などの代表作も並ぶ。

さらに、制作数は限られながらも生涯描き続けてきた、日本画家としての側面にも注目。《青柳》《落葉》《雪の朝》(すべて1924頃)をはじめ、初期から晩年までの肉筆作品を一堂に展示。数多の文学者や画家、出版人、舞台人たちとの交流と協働を見つめ直し、新たな小村雪岱像の構築を試みるものとなる。


























