第61回ヴェネチア・ビエンナーレが詳細発表。111組が参加し、「モチーフ」で構成【2/2ページ】

 本展には、個人作家、デュオ、コレクティブ、アーティスト主導組織を含む111組が参加する。サルヴァドール、ダカール、サンフアン、ベイルート、パリ、ナッシュヴィルなど多様な地域から選出され、地域を越えたつながりが示される。

 展示は章立てではなく、いくつかのモチーフによって構成される。「Shrines(聖域)」では、イッサ・サンブとビヴァリー・ブキャナンの2人の作家が中心に据えられる。前者はダカールのLaboratoire Agit’Artの共同創設者であり、後者は反記念碑的ランド・アートを展開した作家。両者に共通するのは、作品を物体として完結させるのではなく、生成的実践として社会へ開く姿勢だ。

 「Procession(行進)」は、祝祭や集団的実践に着想を得た展示構成で、観客も空間に参加する存在として位置づけられる。「Schools」は、学びと共同性を重視する実践に光を当て、芸術と社会の関係を問い直す。

 さらに「Rest(休息)」は、本展の重要な視点のひとつだ。植民地主義や環境問題といったテーマを扱いながらも、庭や中庭といった空間を通じて、立ち止まり考える場を設ける。網羅することよりも、深く向き合うことを重視する姿勢が示される。

 なお、日本出身および日系の参加アーティストには、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ(1961年生まれ)、アレクサ・クミコ・ハタナカ(1988年生まれ)、嶋田美子(1959年生まれ)、キャリー・ヤマオカ(1957年生まれ/arms ache avid aeon)が名を連ねる。

 パフォーマンス・プログラムでは身体を知と記憶の場として捉える。ジャルディーニでは、1999年にクオが実施した「Poetry Caravan」に着想を得た詩人の行進が行われる予定だ。

 展示デザインはケープタウンのWolff Architectsが担当。閾(しきい)を意識した空間構成と藍色のバナーが特徴となる。Applied Arts Pavilionではガラ・ポラス=キムが参加し、文化財と制度の関係を問い直すプロジェクトを展開する。

 大学向けプログラム「Biennale Sessions」や教育プログラムも継続。前回展では約13万人が教育活動に参加しており、2026年も若年層への取り組みが強化される。

 コヨ・クオの不在のなか実現する本展は、彼女の思想を引き継ぐかたちで開催される。「In Minor Keys」は、関係性や共同性を軸に、芸術がどのように人間の経験と向き合うかを問いかける展覧会となるだろう。

編集部

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