香港のCHAT紡織文化芸術館で春季プログラムが始動。テキスタイルを通じて精神性を紡ぐ【2/2ページ】

 いっぽう、今年のアート・バーゼル香港において、CHATは文化パートナーとしてブースを出展。香港出身のアーティスト、チャン・ワイ・ラップの作品を紹介する。2013年の《Standard Summer Uniform》《Standard Winter Uniform》に加え、新作として地元の学校制服を用いた大型インスタレーションを発表。制服という身近な衣服を通じ、香港の記憶や共同体の物語を読み解く試みとなる。

 さらに、3月8日〜2027年2月21日に同館で開催される通年展「Snuggle and Stitch: Childhood Textiles of Hong Kong」では、1930年代から現代までの子供用テキスタイルを紹介。衣服や人形、量産玩具から手づくりの品までを通じ、世代を超えた記憶やケアの文化を再考する。

 同時期に行われる展示「Artefacts of ‘Blue’」では、1930年代の広告に登場した「Miss Happiness」が象徴するインダンスレン・ブルーを取り上げる。世界初の合成バット染料として登場したこの鮮やかな青は、近代化の象徴として中国全土に広まり、学校制服など制度的衣服にも採用された。色彩を通じて産業史と社会感情を読み解く試みだ。

 CHATエグゼクティブ・ディレクター兼チーフキュレーターの高橋瑞木は、「元紡績工場という特別な場所にあるCHATは、香港の繊維産業遺産をアジアの創造的対話へと転換する立場にある。テキスタイルに宿る目に見えない霊性や力を再想像する時間を提供したい」とコメントしている。

編集部

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