なかでも注目されるのが、四季の草花100種を植物図鑑のように精緻に描いた田能村直入《百花》(1869)だろう。個々の花の写実性と画面全体の装飾性とがせめぎ合う本作は、季節を越えて広がる花の世界を象徴する存在といえる。また、桃源郷を題材に理想郷としての花景を描いた山本梅逸《桃花源図》(1844-48頃)など、花を描くための多様なアプローチにも目を向ける。


さらに会場では、淡い色調で花の量感を表現した川端龍子《牡丹》(1961)、四季の花々を画面いっぱいに配した荒木十畝《四季花鳥》(1917)など、画家ごとの個性が際立つ作品群も紹介。花という共通の主題を通して、日本画における表現の幅と奥行きが浮かび上がる構成だ。
すべて山種美術館蔵の作品によって構成される本展は、同館コレクションの特色を改めて示すと同時に、花の絵画がもつ普遍的な魅力を再確認する機会となるだろう。百花繚乱の世界が広がる展示空間で、日本画ならではの四季の美を味わいたい。

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