「装い」の革命をたどる。「アール・デコとモード」展が三菱一号館美術館で開催へ【2/2ページ】

 本展では、当時の服飾の多様な側面を紹介。都市文化の発展に伴い変化した女性の装い、すなわち1920年代の「現代モードの萌芽」に焦点を当て、続いてアール・デコ博覧会におけるファッションの役割と最新スタイルが取り上げられる予定だ。

ルネ・ラリック アトマイザー「サン・アデュー(さよならは言わない)」 ウォルト社 1929 箱根ラリック美術館
ルースパウダー入りコンパクト(二種) 1920年代初頭 カネボウ化粧品(アンティークコンパクトコレクション)  撮影=若林勇人

 また、身体観の変化、クチュリエと芸術家との協働、女性クチュリエの台頭、服飾小物やスポーツウェアの進化など、当時の社会・文化的背景とともにアール・デコ期のモードが果たした役割が立体的に描かれる。パリの劇場の室内装飾を手掛け、舞台人とも交流のあったジャクリーヌ・マルヴァルの作品や、ラウル・デュフィ、ソニア・ドローネーらによるファッションとの交差にも注目だ。

ジャクリーヌ・マルヴァル ヴァーツラフ・ニジンスキーとタマラ・カルサヴィナ 1910年頃 個人蔵/ジャクリーヌ・マルヴァル委員会(パリ)協力

 京都服飾文化研究財団(KCI)は、株式会社ワコールの出捐により1978年に設立された研究機関で、西洋服飾および関連資料の収集・保存・調査研究を行っている。その所蔵品は国際的にも高く評価されており、本展はその豊富なコレクションを通して、服飾史と芸術の交差点を包括的に伝える貴重な機会となる。

 1930年代に一度衰退したアール・デコ様式は、1960年代以降の再評価を経て、現代のファッションやアートにも大きな影響を及ぼし続けている。今回の展覧会は、その100年におよぶモードの系譜をたどる機会として、あらためてアール・デコの魅力と現代性を浮かび上がらせるだろう。

編集部