今週末に見たい展覧会ベスト25。ミロ、鴨居玲、加藤泉にゴッホまで【8/8ページ】

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(大阪市立美術館

  「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」が大阪市立美術館で開催される。会期は7月5日〜8月31日。

 本展はフィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)の作品が、どのように今日まで伝えられてきたのかを、ファン・ゴッホ家が受け継いできたファミリー・コレクションに焦点を当て、その芸術の継承と発展の過程をたどるものだ。

 本展では、ゴッホの油彩画約200点や素描約500点を収蔵しているオランダのファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、ゴッホの絵画30点以上に加え、日本初公開となる貴重な手紙4通なども展示される。さらに、現在のファン・ゴッホ美術館の活動も紹介し、家族が受け継いできた画家の作品と夢を未来へと伝えていく。

会期:2025年7月5日〜8月31日 
会場:大阪市立美術館
住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82
開館時間:9:30~17:00(土〜19:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月、7月22日(ただし、7月21日、8月11日、12日は開館)
料金:一般 2200円 / 高大生 1300円 / 小中生 500円

「夜明けの荒野を走ってー池口史子 × 碓井ゆい展」(堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館)

 東京・四谷三丁目の堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館で「夜明けの荒野を走ってー池口史子 × 碓井ゆい展」が開催される。会期は7月5日〜8月31日。 

 池口史子は、1960年代に東京藝術大学で油画を学ぶ。作家・経済評論家の堺屋太一の妻で、1988年にアメリカ北西部とカナダの国境沿いの小麦の穀倉地帯を堺屋と旅した。そこで目にした風景との出会いを機に作風を一新し、90年代に独自の表現を確立。また、2012年には女性洋画家として初めて日本藝術院会員となった。いっぽうの碓井ゆいは、社会や歴史の見過ごされがちな事象を、丹念なリサーチを通して掘り起こし、刺繍やパッチワーク、アップリケなど手芸を使った作品を中心に発表してきた。

 本展に際して、碓井は、池口と同時代を生き、90年代に池口の個展に触れてキルトによる創作を本格化させた、とある女性の物語を展開する。本展では、その女性が訪れた架空の池口の個展会場として、1階ギャラリーを中心に池口の画業の転機となった90年代の作品を展示。また、3階と4階の元居住スペースとアトリエでは、物語のなかで生み出されたキルト作品が碓井によるテキストとともに展示される。

会期:2025年7月4日~8月3日
会場:堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館
住所:東京都新宿区愛住町2-5
電話:03-6709-8895
開館時間:11:00~17:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月、火、水、木(7月21日は開館)
観覧料:無料

「具体美術協会と芦屋、その後」(芦屋市立美術博物館

 1954年に芦屋で結成された「具体美術協会」(具体)。そのて解散までの18年間の活動を振り返るの展覧会「具体美術協会と芦屋、その後」が、兵庫・芦屋の芦屋市立美術博物館で開催される。会期は7月5日〜8月31日

 同館は、芦屋ゆかりの前衛美術集団である「具体」会員たちの作品を1991年の開館以前の準備時代より収集してきた。その作品群は、世界に誇る珠玉の「具体」コレクションとなっている。本展では、当館コレクションから「具体」会員37名の作品約50点によって18年間の「具体」の活動を紹介。

 とくに1970年の日本万国博覧会(大阪万博)の参加に向けて準備を進めていた60年代後半からの「具体」の動向は重点的に取り上げる。また1972年と74年に芦屋のルナ・ホールや滴翠美術館で開催された「芦屋川国際ビエンナーレ」、1973年から1975年にルナ・ホールで開催された「ルナ・フェスティバル」を資料なども見ることができるものとなる。

会期:2025年7月5日〜8月31日
会場:芦屋市立美術博物館
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12-25
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで
休館日:月(休日の場合は翌平日)
料金:一般 900円 / 大高生 500円 / 中学生以下無料

「Ecologies of Closeness 痛みが他者でなくなるとき」(山口情報芸術センター[YCAM]

マヤ・エリン・マスダ Pour Your Body Out 2023 京都芸術センター (https://www.ycam.jp/events/2025/scopic-measure-17/より)

 ベルリンを拠点に活動するアーティストのマヤ・エリン・マスダによる新作を含む展覧会「Ecologies of Closeness 痛みが他者でなくなるとき」が、山口市の山口情報芸術センター[YCAM]で開催される。会期は7月5日〜11月2日。

 マスダは、映像や液体を用いた作品を通じて、人間中心の社会が自然や動植物に与えてきた影響を問い直し、「クィア・エコロジー」という視点から、国家が生命や出生を管理する「生政治」とテクノロジーの関係を探求している。

 本展では、放射線による皮膚の変容や、汚染に晒された動物や土地に起こる変化にまつわるリサーチをもとに制作した新作を中心に、過去作《Pour Your Body Out》(2023)などを展示。作品を通して、目に見えにくい「毒性」と共に生きざるを得ない現実を浮かび上がらせ、そのような環境を生み出した人間と、その影響を受けるさまざまな存在との間に生じる、奇妙で「親密な」関係性を提示する。

会期:2025年7月5日〜11月2日
会場:山口情報芸術センター[YCAM]
住所:山口県山口市中園町7-7
電話:083-901-2222
開館時間:10:00~19:00
休館日:火
料金:無料