江戸時代の「メディア王」の顔に迫る。特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が東京国立博物館で開催へ【2/2ページ】

 また、狂歌が隆盛を極めた天明期には、蔦重が「蔦唐丸」として狂歌活動を展開し、当時の文化人たちとの交流を通じて狂歌集や狂歌絵本を世に送り出した。第2章「狂歌隆盛――蔦唐丸、文化人たちとの交流」では、江戸文化を広めるプロデューサーとしての蔦重の顔を取り上げる。

宿屋飯盛撰/喜多川歌麿画 画本虫撰 天明8年(1788) 千葉市美術館蔵 展示期間:前期(4月22日~5月18日、後期は別本を展示)
平賀源内作 重要文化財「エレキテル」 江戸時代(18世紀) 郵政博物館蔵 展示期間:前期(4月22日~5月18日、後期は複製を展示)

 さらに、浮世絵の分野では、蔦重は歌麿や写楽、栄松斎長喜などの絵師を発掘し、その魅力を最大限に引き出して出版した。第3章「浮世絵師発掘――歌麿、写楽、栄松斎長喜」では、歌麿や写楽が人物の内面を描き、江戸時代の人々の感情や個性を映し出す「大首絵」といった蔦重版の特徴的な作品を楽しむことができるだろう。

喜多川歌麿筆 婦女人相十品 ポッピンを吹く娘 寛政4~5年(1792~93)頃 東京国立博物館蔵 展示期間:前期(4月22日~5月18日)
喜多川歌麿筆 歌撰恋之部 物思恋 寛政5~6年(1793~94)頃 東京国立博物館蔵 展示期間:後期(5月20日~6月15日)

 なお、本展では現在放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)との連携展示も見どころだ。附章「天明寛政、江戸の街」では、蔦重が活躍した江戸時代の街並みが再現され、来場者は当時の江戸にタイムスリップしたかのような体験ができるという。

 江戸時代の出版業界を革新した蔦屋重三郎の足跡をたどり、彼が送り出した様々な作品を知る機会となる本展。この展覧会を通じて、江戸時代の文化の奥深さを感じ取ってみてはいかがだろうか。

編集部

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