新収蔵のピエール・ボナール《プロヴァンス風景》が初公開。春の「MOMATコレクション」に注目

東京国立近代美術館の所蔵作品展「MOMATコレクション」。3月18日に開幕する同展で、新収蔵されたピエール・ボナールの絵画《プロヴァンス風景》(1932)が初披露される。

ピエール・ボナール プロヴァンス風景 1932

 東京国立近代美術館の1万3000点を超える所蔵作品から、選りすぐりの約200点を会期ごとに展示する「MOMATコレクション」展。3月18日から始まる同展では、コレクションによる小企画として2020年度に新収蔵されたピエール・ボナールの絵画《プロヴァンス風景》(1932)が初披露される。

 ボナール(1867〜1947)は、19世紀末から20世紀半ばにかけて活躍したフランスの画家で、1920 年代以降の豊麗な色彩や抽象度の高い表現を特徴とする作品は「視神経の冒険」(ボナール本人の言葉)や、「絵画の中の絵画」といった形容で語られてきた。 

 《プロヴァンス風景》は、南仏・プロヴァンスの風景を複雑な色調を組み合わせながら描いたもの。ボナールの絵画の色彩性と構成力がよく伝わってくる作品のひとつだ。展示室(2階ギャラリー4)ではこの作品とともに日本画、洋画、現代絵画など23点が共演し、新たな視点を与えるという。

 また、小特集として「白い漫画、黒い漫画」も開催。1950年代の日本で、絵画と漫画が接近し密接に交流していた時代の表現をコレクションから抜粋。こうした動向は、評論家の瀧口修造が「黒い漫画」と名づけたものの、60年代以降の少年向け漫画のヒットともに、絵画と漫画はふたたび異なる道を歩むようになる。

池田龍雄 怒りの海 1953

 会場では往時の動向をいまに伝える、岡本太郎や間所紗織の絵画や、久里洋二、真鍋博の漫画など、計50点以上の作品と資料を展示。当時の絵画と漫画の距離感を実感できる。

間所紗織 女(B) 1955
『真鍋博漫画集 食民地ニッポン』 1957

編集部

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