ハリー・ポッターから庵野秀明展まで、今週末に見たい展覧会ベスト4

今週開幕した、または12月19日までに閉幕する展覧会から、とくに注目したい4つをピックアップしてお届けする。

「庵野秀明展」展示風景より

魔法の世界へようこそ。「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展(東京ステーションギャラリー

ジム・ケイ 『ハリー・ポッターと賢者の石』の9と3/4番線の習作 ブルームズベリー社蔵 (C) Bloomsbury Publishing Plc 2015

 キャストが再結集する特別番組が制作されるなど、『ハリー・ポッターと賢者の石』の出版から20年を経てなお多く人々を魅了している「ハリー・ポッター」シリーズ。様々な資料によって魔法のルーツをひもとき、その世界を紹介する「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展が、12月18日に東京ステーションギャラリーで開幕する。

 本展は、大英図書館が2017年に企画した展覧会の国際巡回展。原作に基づいて主人公のハリー・ポッターが通うホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿った「魔法薬学」「錬金術」「魔法生物飼育学」など10章で構成され、同館の充実したコレクションの一端を見ることができる。

 また、原作者J・K・ローリングによる日本初公開の直筆原稿やスケッチなどの資料も紹介。世界中の言い伝えや魔法の歴史に触れ、作品世界をさらに深く理解する機会となるだろう。

会期:2021年12月18日~2022年3月27日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:050-5542-8600
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00、入場は閉館の30分前まで)
休館日:月(1月10日、3月21日は開館)、12月29日~1月1日、1月11日
料金:一般 2500円 / 高校・大学生 1500円 / 小・中学生 500円 ※日時指定予約制

10年にわたるアーティストと職人の協働。「転移のすがた」展(銀座メゾンエルメス

小平篤乃生 Instrument pour Saint-Louis 2012 Photo (C) Tadzio / Fondation d'entreprise Hermès

 アーティストをエルメスの工房に招聘し、職人と体験の共有や協働制作を行う「アーティスト・レジデンシー」を実施してきたエルメス財団。その10周年を記念する展覧会「転移のすがた」が、銀座メゾンエルメスで12月17日に開幕した。

 これまで10年間で34人のアーティストが21ヶ所の工房に滞在し、皮革、シルク、クリスタル、シルバーなどの素材を用いながら職人の技術に触れ、様々な作品を生み出してきた。本展は職人とアーティスト、そしてメンターのあいだで紡がれてきた「転移」の姿を、ソウル・東京・パンタン(パリ郊外)の3都市それぞれ異なる視点から回顧する試みだ。

 東京展では、2020~21年のプログラムに参加したクロエ・ケナム(メンター:イザベル・コルナロ)、エンツォ・ミアネス(メンター:ミシェル・ブラジー)、フランス在住の小平篤乃生(メンター:ジュゼッペ・ペノーネ)の3組を紹介。レジデンシーで制作された作品に加え、それぞれの作品を一望することができる。

会期:2021年12月17日~2022年4月3日
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
住所:東京都中央区銀座5-4-1
電話番号:03-3569-3300
開館時間:11:00~20:00(日~19:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:不定休(店舗の営業日に準ずる)
料金:無料

原点から最新作まで。「庵野秀明展」(国立新美術館

展示風景より、『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)の資料展示

 これまでアニメーションや実写など様々な作品を手がけてきた庵野秀明の仕事を網羅し、その創作活動の秘密に迫る展覧会が、国立新美術館で12月19日に閉幕する。

 仮面ライダーや宇宙戦艦ヤマトなどに幼少期から傾倒した庵野。本展ではこうした原点に始まり、大学進学後にアマチュアの世界で頭角を現し『新世紀エヴァンゲリオン』を監督するまでの軌跡や、その後の『エヴァンゲリオン』新劇場版4部作と、『シン・ゴジラ』(2016)にいたるまでの実写作品の系譜、そして現在制作中の『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』の公開可能な資料を展示。最後には技術の継承にかかわるアーカイヴやアニメーター育成事業を紹介する。

 撮影に使用された模型やミニチュア、設定資料、映像から、つねに挑戦を続けてきた庵野の世界に迫る本展。映像制作にかける情熱と試行錯誤の過程を垣間見ることができる内容となっている。

会期:2021年10月1日~12月19日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00
料金:一般 2100円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 ※当日券は数量限定(予定枚数に達し次第終了)

その仕事の全貌に迫る。「和田誠展」(東京オペラシティ アートギャラリー

「週刊文春」の展示風景より

 『週刊文春』の表紙イラストレーションなどで知られる和田誠(1936~2019)の没後初となる回顧展が、12月19日に東京オペラシティ アートギャラリーで終了する。

 本展では「似顔絵」「絵本 谷川俊太郎との絵本」「パロディ」「ライトパブリシティの仕事」「装丁―作家との仕事」など、30のトピックスや代表的な仕事を中心としたビジュアル年表を軸に、約2800点の作品や資料を紹介。

 和田が1977年から40年以上にわたって描いた『週刊文春』2000号分の表紙は必見だ。また、代表作のひとつであるたばこ「ハイライト」のデザイン、レコードやビデオジャケット、丸谷才一や村上春樹などの作家の装丁、そして落語や演劇の台本、映画の監督まで、ジャンルの垣根を超えた仕事の広がりを感じることができるだろう。

会期:2021年10月9日~12月19日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:11:00~19:00 ※入場は18:30まで 
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料

編集部

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