アーティストをエルメスの工房に招聘し、職人と体験の共有や協働制作を行うエルメス財団のプログラム「アーティスト・レジデンシー」。その10周年を記念する展覧会「転移のすがた」が銀座メゾンエルメス フォーラムで開催される。会期は12月17日〜2022年4月3日。
2010年より継続して行われているエルメス財団の「アーティスト・レジデンシ―」では、これまで34人のアーティストが21ヶ所の工房に滞在。皮革やシルク、クリスタル、シルバーなど様々な素材を用いながら職人技術に触れ、好奇心あふれる作品が制作されてきた。その活動の成果は「コンダンサシオン」展(パリ、2013年/東京、2014年)、「眠らない手」展(パリ、2017年/東京、2018年)などを通して紹介されている。
その節目を記念する本展は、ソウル、東京、パンタン(パリ郊外)で同時期に開催されるもの。過去10年間の歩みのなか、職人、アーティスト、メンターの間で交わされ、紡がれてきた様々な「転移」のすがたを、3都市それぞれ異なる視点から複層的に回顧するものになるという。
銀座メゾンエルメス フォーラムでは、2020~2021年のプログラムに参加したクロエ・ケナムとメンターのイザベル・コルナロ、エンツォ・ミアネスとメンターのミシェル・ブラジー、フランス在住の小平篤乃生とメンターのジュゼッペ・ペノーネという3組のアーティストとメンターが参加。レジデンシ―で制作された作品だけでなく、メンターと滞在アーティスト各々の作品を一望する展示を通じて、師弟関係としてだけではなく、芸術的感性が応答しあうアーティスト同士としての姿も提示する。
なお、ソウルのアトリエ・エルメスでは革に焦点を当て、この魅惑的な素材だからこそできる様々な芸術的アプローチを提示。パンタンのマガザン・ジェネロー(アート・スペース)の展示では、すべてのアーティストを紹介することでプログラムの全容を伝える。