2021.11.19

ゲルハルト・リヒターからクリスチャン・マークレーまで、今週末に見たい展覧会ベスト3

今週開幕する展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。

ゲルハルト・リヒター「Abstrakt」(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)展示風景より、《Lilak》(1982)
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コレクション初公開作品も。ゲルハルト・リヒター「Abstrakt」(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)

展示風景より、《Strip(921-2)》《Strip(921-5)》(ともに2011)

 パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵するゲルハルト・リヒターの作品のなかから、18点の抽象作品を展示する個展「Abstrakt」が、エスパス ルイ・ヴィトン大阪で開催されている。

 写真にペインティングを施した作品群や、横4メートルにおよぶ二連画《Lilak》(1982)、ニンジンを意味する題をつけられた《Möhre》(1984)といった、バリエーション豊かな抽象作品が並ぶ。

 とくに《940-4 Abstraktes Bild》および《941-7 Abstraktes Bild》(ともに2015)のふたつの抽象画は、フォンダシオン ルイ・ヴィトンが収蔵して以降、初めて披露となる。また、絵画をスキャンしプログラミングによってその画像を縦に分割して膨大な色の層を生む「Strip」シリーズも見逃せない。

 22年には日本の美術館では16年ぶりとなる大規模個展が東京国立近代美術館と豊田市美術館で開催予定となっているリヒター。その開催を前にフォンダシオン ルイ・ヴィトンの貴重なコレクションの数々をじっくりと見られる機会となっている。

会期:2021年11月19日〜2022年4月17日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
住所:大阪市中央区心斎橋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋5階
電話番号:0120-00-1854
開館時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準ずる
料金:無料

国内初の大規模個展。「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」(東京都現代美術館)

クリスチャン・マークレー エフェメラ:ミュージカル・スコア[部分] 2009
28枚の印刷物より

 アートと音楽の交差点から作品を発表してきたアーティスト、クリスチャン・マークレーの日本国内初となる大規模な展覧会「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」が、東京都現代美術館で開催。

 マークレーは1955年アメリカ・カリフォルニア州に生まれ。70 年代末にニューヨークでターンテーブルを使ったパフォーマンスで音の実験的な作品を発表し、前衛的な音楽シーンの重要人物として一躍知られるようになった。80年代以降は、即興の演奏のほか、聴覚と視覚の結びつきを探る作品を数多く生み出している。

 展覧会では、コンセプチュアル・アートやパンク・ミュージックに影響を受けた初期作品から、イメージと音の情報のサンプルを組み立てた大規模なインスタレーション、そして現代社会に蔓延する不安を映し出した最新作まで、マークレーの多岐にわたる活動の全貌を紹介し、その多様で折衷的な実践を探る。

会期:2021年11月20日〜2022年2月23日
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(展示室入場は閉館30分前まで)※最新情報は、美術館または展覧会ウェブサイトにて要確認
休館日:月(1月10日、2月21日は開館)、年末年始(12月28日〜1月1日)、1月11日
料金:一般 1800円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1200円 / 中高生 600円 / 小学生以下無料

くらしと人生を見つめる絵本と染色。「柚木沙弥郎 life・LIFE」(PLAY! MUSEUM)

「柚木沙弥郎 life・LIFE」(PLAY! MUSEUM)展示風景より

 型染めで布に模様を大胆 に染めた染色作品や版画、絵画、立体、絵本など、70年以上にわたり創作活動を行っている柚木沙弥郎。その大規模個展が「柚木沙弥郎 life・LIFE」だ。

 柚木は1922年東京生まれ。42年に東京帝国大学文学部美学・美術史科に入学し、46年に大原美術館に就職。そこで柳宗悦の「民藝」に出会い、芹沢銈介に師事し染色家へと転身した。72年には女子美術大学の教授となり、87年からは同大学長を務めた経歴を持つ。

 本展では、『つきよのおんがくかい』『そしたら そしたら』(いずれも福音館書店)など、90年代から手がける絵本作品の原画約80点を一堂に紹介。絵本の制作に使われた型紙、スケッチブックやスクラップブックも展示される。また、紙粘土と布でつくられたユーモラスな約20点の人形たちのほか、約50点の染色作品も見どころ。

 50~70年代にかけて多数制作された「注染」という技法の染色作品や、抽象画のような大胆な模様が印象的な近年の作品まで、幅広い年代の染色作品が展示される。

会期:2021年11月20日〜2022年1月30日
会場:PLAY! MUSEUM
住所:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3
電話番号:042-518-9625
開館時間:10:00〜18:00(平日〜17:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休(12月31日、1月1日、2日をのぞく)
料金: 一般 1500円 / 大学生1000円 / 高校生 800円 / 中・小学生 500円 / 未就学児無料 ※同時開催の「ぐりとぐら しあわせの本」展の料金も含む