東博が創立150周年記念事業を発表。所蔵する国宝89件すべてを展示する特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」も開催

2022年3月に東京国立博物館が創立150周年を迎える。これを記念し、所蔵する国宝89件を展示する特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」のほか、様々な事業が行われる。

東京国立博物館創立150年記念ロゴマーク

 2022年3月に創立150周年を迎える東京国立博物館(東博)。同館がこれを記念して特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」ほか、様々な事業が行われることが発表された。

 1872年に旧湯島聖堂の大成殿で開催された博覧会を機に「文部省博物館」が発足。これが、現在の東京国立博物館の母体となった。来年は、この博物館が発足し、150年の節目となる。

1935年頃、建設中の本館

 記念事業でまず注目したいのは、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」(2022年10月18日〜12月11日)の開催だ。同展は膨大な東博の所蔵品のなかから、国宝89件すべてを含む名品と諸資料を通して、東京国立博物館の全貌を紹介するものだ。

狩野永徳筆 国宝 檜図屛風 安土桃山時代・天正18年(1590) 東京国立博物館蔵

 第1部「東京国立博物館の国宝」では、所蔵の89件の国宝をすべてを展示(会期中展示替えあり)する史上初の試みとなる。狩野永徳筆《檜図屛風》(1590)や《埴輪 挂甲の武人》(6世紀)、渡辺崋山筆《鷹見泉石像》(1837)といった国宝のほか、国宝刀剣19件がひとつの部屋で一堂に展示され、「国宝刀剣の間」とでも言うべき空間が出現するという。

国宝 埴輪 挂甲の武人 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵 群馬県太田市飯塚町出土

 第2部「東京国立博物館の150年」では、東博の150年を3期に分け、関連する資料や再現展示、各時代の映像などを通してわかりやすく紹介する。

 常設展にあたる総合文化展でも、創立150年を記念した特集展示が23件開催。なかでも注目したいものを紹介する。本館2室では「未来の国宝─東京国立博物館 書画の一品─」では、国指定の国宝や重要文化財になっていないながらも、研究員が選びぬいた名品を通年展示する。

菱川師宣筆 見返り美人図 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵

 本館特別1室・2室の「東京国立博物館の近世仏画─伝統と変遷─」では、東博が所蔵する狩野一信筆《五百羅漢像》をはじめ、木村徳応や神田宗庭といった江戸時代を代表する絵仏師の作品をまとめて紹介。一挙に見る機会が少ない近世仏画をまとめてみることができる。会期は4月上旬〜5月中旬を予定。

 法隆寺宝物館第6室では「古代染織の保存と修理─50年にわたる取り組み」を開催。2022年は法隆寺献納宝物の染織品修理がはじまって50年という節目となる。展示では、法隆寺における江戸時代の染織品保存にはじまり、博物館の修理事業の変遷をたどる。会期は10月中旬〜11月中旬を予定している。

 また、今回の150周年にあわせ、収蔵品や本館・表慶館の建物に描かれている「唐草文」をモチーフにしたロゴマークも発表。2022年は同館の名品の数々を、より多く見られる1年になりそうだ。

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