国立文化財機構の文化財活用センターと東京国立博物館が2017年度より行ってきた「貸与促進事業」は、国内各地の美術館・博物館に対して国立博物館の収蔵品を貸し出すとともに、作品輸送費等も負担する制度。多くの人々に国の文化財に親しんでもらい、地方創生・観光振興に寄与するために開始された。
4年目となる2020年度の同事業は、東北歴史博物館、九州歴史資料館、千葉県立中央博物館、古河歴史博物館、土浦市立博物館で開催される。
古河歴史博物館の「国宝参上。―鷹見泉石像と古河ゆかりの文化財―」展(2021年1月9日 ~ 2021年2月7日)では、約80年ぶりの里帰りとなる国宝の古河藩家老の肖像画《鷹見泉石像》(1837)を展示。また、千葉県立中央博物館の「ちばの縄文」展(~12月13日)には44件の考古資料を提供する
さらに、九州歴史資料館の「福岡の至宝にみる信仰と美」展(~11月29日)では、博多・承天寺の住持を務めた円爾ゆかりの国宝《聖一国師あて尺牘》を展示するなど、地元ゆかりの文化財が里帰りを果たす。
また、2021年度事業からは、東京国立博物館のみならず、京都・奈良・九州の国立博物館の収蔵品も貸与品の対象となる。さらに、実施する館についても地方公共団体の美術館・博物館に限らず、私立の美術館・博物館にも対象が広がり、より多くの地域からの応募が受けられることになった。
文化財活用センターは、今後も同事業を通して各地域の歴史と文化に関わる展覧会に協力し、次世代への文化財の継承ならびに地方創生、観光振興を目指していくという。