4月1日付で長谷川祐子が新館長に就任する金沢21世紀美術館が、2021年度に開催する事業を発表。特別展では、文字通り日常と非日常との間を身近な暮らしから見つめ直す「日常のあわい」展と、近年改めて注目を集めるフェミニズムをメディア文化との接点から再考する「フェミニズムス / FEMINISMS」展を開催する。
4月29日~9月26日の会期で開催される「日常のあわい」展は、新型コロナのパンデミックによってあらためて意識せざるを得なくなった「日常」を見つめ直すことを試みる展覧会。生活の中のささやかな創造行為に着目した作品や、突然の喪失や災害に向き合う心の機微をとらえた作品、かたちを変えて続いていく日常をあらわにする作品を介して、日常と非日常のあわいにある「現在」を浮かび上がらせるという。参加作家は、青木陵子+伊藤存、岩崎貴宏、小森はるか+瀬尾夏美、小山田徹+小山田香月、下道基行、髙田安規子・政子、竹村京。
これに続くのは、10月16日~2022年3月13日で開催される「フェミニズムス / FEMINISMS」展だ。同展は、写真家・長島有里枝を企画協力に迎え、ガーリー・ムーブメントから始まるフェミニズムを概観すると同時に、1990年以降の日本のメディア文化とフェミニズムの交錯する表現に着目する展覧会。「かわいい」や「らしさ」もジェンダーの多様性として一旦受け入れながらも、違和感とどう向き合っていくか、フェミニズムの視座から考えるものになる。参加作家は長島有里枝、遠藤麻衣×百瀬文、風間サチコ、木村了子、西山美なコ、碓井ゆい、ユゥキユキほか。
なおこのほか4月29日~11月23日には、所蔵作品のなかから同館初展示となるダグ・エイケン《アイ・アム・イン・ユー》を紹介する特別展示「ダグ・エイケン:アイ・アム・イン・ユー」を開催。5つのスクリーンから成る映像インスタレーション作品で、当館の大型展示室を存分に使ったダグ・エイケンの世界観を体験する貴重な機会となる。
また若手作家を紹介する「アペルト」は原田裕規(5月29日~10月10日)と冨安由真(10月23日〜2022年3月21日)を紹介。プロジェクト「自治区」は「分断の時代」というテーマで、小泉明郎「縛られたプロメテウス」(12月11日〜19日)と高山明 / Port B「ワーグナープロジェクト@金沢21世紀美術館」(1月8日~2月6日)がラインナップされている。