現在「第13回恵比寿映像祭 映像の気持ち」を開催中の東京都写真美術館(~2月21日)。これに続く2021年度の展覧会スケジュールが発表された。
2月27日から3階の展示室でスタートするのは「白川義員写真展 永遠の日本/天地創造」。同展では、山岳写真家として世界的に知られる白川義員の集大成となる二つのシリーズを二期構成で取り上げる。第一期は、白川のシリーズ第11作目「永遠の日本」を特集(~4月4日)。日本人の誇りと魂を復興する一助になりたいという作家自身の願いが込められた、崇高な日本の自然をとらえた作品が並ぶ。
第二期は、シリーズ第12作目となる最新作「天地創造」がお披露目される(4月6日~5月9日)。入域が1日わずか20人に限定されているアメリカ西部の砂漠にあるザ・ウェーブや、中国の湖南省・張家界市に位置し「仙境」と呼ぶにふさわしい武稜源など、いずれも近年発見された地域の写真を中心に構成するという。
同時期に2階展示室では、2000年度写真新世紀特別賞、03年度第29回木村伊兵衛写真賞を受賞するなど、デビューから現在に至るまで国内外で高い評価を得てきた澤田知子の展覧会「狐の嫁いり」を開催(3月2日~5月9日)。同展は、新旧複数のシリーズを組み合わせた新作として発表される。
初夏には、2階と3階の展示室で写真家・篠山紀信の大規模個展「新・晴れた日 篠山紀信」が幕を開ける(5月18日~8月15日)。1974年にアサヒグラフで連載され、のちに写真集にまとめられた『晴れた日』を軸に、二部構成で60年間にわたる篠山紀信の110点以上の作品を概観する展覧会だ。
その後に続く、アーティスト・山城知佳子の公立美術館では初となる展覧会「リフレーミング」にも注目したい(8月17日~10月10日)。故郷である沖縄の歴史や地政学的状況と自身との関係に向き合ってきた山城が、作家としての現在地点である最新作を核に旧作を有機的に再配置。相互に共鳴する主題やモチーフの連なりを、展示室内を回遊しながら巡るような構成で展開されるという。
8月24日〜10月31日は、日本とオーストラリアの写真・映像表現を通して、現代人に共通する問題意識に焦点を当てる「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」と、「自然界の報道写真家」と称される宮崎学の展覧会が同時開催。
11月から年を跨いで開催されるのは「日本の新進作家 vol.18」と、世界各地の地表を独自の視点で写してきた松江泰治の展覧会だ。後者では、松江の近作から最新作までを通覧できる(〜1月23日)。
そして「第14回恵比寿映像祭」を挟み、年度末は、幕末から明治の「はこだて」を初期写真および関連資料に基づいて再構築する展覧会「写真発祥地の原風景 はこだて(仮称)」と、同館のコレクション展で締めくくられる予定。